ザ・ギフト

ザ・ギフト “The Gift”

監督・出演:ジョエル・エドガートン

出演:ジェイソン・べイトマン、レベッカ・ホール、アリソン・トルマン、
   ティム・グリフィン、ビジュー・フィリップス、アダム・ラザール=ホワイト

評価:★★★★




 夫はセキュリティ会社の出世株で、妻はデザイナー。心優しく幸せな夫婦の物語には最初から、妙な違和感が付きまとう。家は新しく手に入れた。金もある。互いを思い合ってもいる。未来は明るい。けれど、どこかふたりの空気がおかしい。小さな棘が刺さっていて、でもそれがどこにあるのか分からない。

 『ザ・ギフト』は違和感の正体を探り出す。ふたりの目の前に現れた夫の高校時代の同級生を名乗る謎の男が触媒になる。彼は夫婦に贈り物を次々差し出す。ワインから始まったそれが、全てが明らかになってから思えば、なかなか切ない。

 これは単純なストーカー映画ではない。「アニマル・キングダム」(10年)「ブラック・スキャンダル」(15年)でお馴染みのジョエル・エドガートンは、シンプルな物語を重層的に描き出していく。怪しい男に狙われる夫婦の物語が、少しずつ表情を変えていく怖ろしさ・悍ましさ。人がいかに偏見に寄り掛かって物事を見ているかを突きつける繊細な語り口がお見事。

 そう、ここでは思い込みがその世界を覆う。夫は本当に頼もしく善良な男なのか。妻は彼を信じるだけで良いのか。いや、そもそも妻は自分を信じて良いのか。謎の男は単純に狂っているだけなのか。観客への挑戦を忘れることのないエピソードの積み重ね。それを恐怖と密着させる。

 せり上がる「人は変わらない・変われない」という現実。エドガートンはそれを落ち着き払った表情で眺める。容赦なく社会は歪み、人はその裂け目に落ち、這い上がろうとしても脚は常に不安定だ。俺は俺でしかない。その情けなさ・哀しさが、居心地の悪さを生む。それを悟ったとき、人はしかし、もう後には戻れない。コ・ワ・イ。

 配役が非常に良く考えられている。観客の偏見を予測した上でのそれだ。違和感の正体が導き出すものは、観客の倫理観の揺さぶりにも繋がり、これは配役の妙によるところが大きい。ジェイソン・ベイトマンの自分を疑わない物腰やエドガートンの背後に見える狂気。それは最後のギフトが届いた後、どう変態を遂げるのか。庶民的でありつつも妙に色っぽいレベッカ・ホールの視点が見届けるそれに、魅せられる。





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