きみがくれた未来

きみがくれた未来 “Charlie St. Cloud”

監督:バー・スティアーズ

出演:ザック・エフロン、アマンダ・クルー、チャーリー・ターハン、
   キム・ベイシンガー、レイ・リオッタ、オーガスタス・プリュー、
   ドナル・ローグ、デイヴ・フランコ、マット・ウォード

評価:★★




 バー・スティアーズ監督とザック・エフロンは「セブンティーン・アゲイン」(09年)を気持ちの良い青春映画として合格点に導いたコンビ。快作になったいちばんの理由は、エフロンのアイドル映画として割り切った演出にすることで、細かい粗を吹き飛ばしてしまった点にある。コメディだったのもプラスに働いた。『きみがくれた未来』の失敗は多分、それと同じノリを持ち込んでしまったところにあると思うのだ。

 オープニングは悪くはない。一流選手としてヨットレースに興じるエフロンの逞しい身体を、二の腕にポイントを置いた撮り方で魅せることに成功している。若さ溢れる青春物特有の溌剌さが画面に漲っている。若い人ならエフロンと同じ空間に入り込めるし、年配の方なら昔を懐かしむことも可能だろう。エフロンのお行儀の良い個性にも合っている。ところがこれが一転、愛する弟を事故で亡くしたことから、ドのつくシリアスなドラマ性を押し出してくる。しかも、エフロンの前にはゴーストが現れるという、スーパーナチュラルスリラーの要素を湛えて…。この展開でエフロンのアイドル性を前面に出すとなると、それが異様なほどに浮き上がってしまうのである。

 作り手はファンには堪らないだろうポイントを、大きくふたつ用意している。ひとつは同じくヨットに情熱を傾けるアマンダ・クルーとの恋愛だ。弟の死後、ずっと禁欲生活を送っていたエフロンなのに、クルーが気になってしまってからはのめり込むのが早いこと早いこと。見ものはふたりのイチャコキ場面で、「ハイスクール・ミュージカル」(06年)シリーズばりにスゴイ。特に墓場で追いかけっこする場面が強烈。夜、霧がかかった中で求め合い、遂には身体を重ねるまでに。墓場だとか森の中だとか、若いふたりには関係ない(クルーがエフロンより可愛くないのもポイント)。実はこの場面には大オチがついていて、エフロンの霊媒師もビックリの特異体質が見えてくる。そんなことができる人間って、それで食っていけるんじゃないの。

 もうひとつは弟とのじゃれ合いで、むしろこちらの方がメインの堪らんポイントかもしれない。今がいちばん可愛いときであるはずのチャーリー・ターハン演じる弟とのじゃれ合いで見せる、エフロンのイイ兄貴ぶりがこれでもかとアピールされるのだ。死んでからもエフロンから離れないというのは、よくよく考えればかなりワガママな弟ゴーストなのだけど、エフロンはちゃんと甘いだけの兄貴ではないのでなんとかバランスをとっている。美青年とその可愛い弟が無邪気に遊ぶその画。エフロンの新たな一面を見た気になるファンは多いはずだ。「ザック可愛い!」という黄色い声が聞こえる。

 以上のふたつのポイントを中心に、エフロンのアイドル性ばかりが前面に出てくるのは結局、脚本が拙いためだろう。ファンタジーは細部の作り込みが重要なのに、全然気が配られていない。ただただエフロンに頼っている。ゴーストが存在する世界観の細部が大雑把ゆえにバカバカしく思えてくるのも当然。一定のルールが守られてこその世界。人間関係の粗雑さにもタマげるけれど…。

 それにしてもなぜキム・ベイシンガーとレイ・リオッタが担ぎ出されたのだろう。リオッタはまだ分からなくもない(極めて唐突な使われ方だけど)。でもベイシンガーは全くの理解不能。最初に出たっきり、一切登場しないのに驚愕する。依然「女」であり続けるベイシンガーを、単なる母親として登場させたその罪は、相当に大きい。猛省を促したい。





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