ドリスの恋愛妄想適齢期

ドリスの恋愛妄想適齢期 “Hello, My Name Is Doris”

監督:マイケル・ショウォルター

出演:サリー・フィールド、マックス・グリーンフィールド、べス・ベアーズ、
   ウェンディ・マクドレン=コーヴィ、スティーヴン・ルート、
   エリザベス・リーサー、ナターシャ・リオン、タイン・デイリー

評価:★★★




 「I'm possible」。ドリスは自己啓発家に言われたその言葉を胸に、職場に新しくやってきた自分好みの年下男にアプローチを決意する。年齢差のある男女の恋模様はそんなに珍しくないものの、んんん?でもちょっと待て。女が60過ぎで、男が20代となると事情は変わってくるだろう。

 『ドリスの恋愛妄想適齢期』でまず危惧されるべきは、どう考えてもドリスが「痛い女」として演出されるだろうことだ。そしてそれを笑い飛ばすのは、よほどデリケートに演出しないと、悪趣味に映ることだろう。しかも演じるのはサリー・フィールド。若い頃からオバチャン風だったフィールドが若い男に涎を垂らす様を見せられるのは、うーん、特異な趣味の持ち主でなければ辛いだろう。これがキム・ベイシンガー級の人ならば、また別の話になる。

 斯くしてフィールドはやっぱり笑われる。そもそもドリスは風変わりな人として登場する。派手な色を散りばめたファッションは絶妙におばあちゃん臭く、ボリュームたっぷりの髪はスカーフでメルヘン色濃厚にまとめられる。眼鏡が近眼用と老眼用の二段重ねなのも奇抜を印象づける。図々しい妄想に走る癖があるのもなかなか強烈だ。

 ただし、観る者はドリスを段々笑えなくなる。いや、正確には笑いながらも胸を締めつけられるようになる。若いハンサム男に入れ込むドリスの人生が立体的に見えてくるからだ。母と一緒に暮らす、ただそれだけだった人生。いつしか雁字搦めになっていた見えない鎖。諦めたかつての恋。孤独の正体は思うより誰の傍にもあるもので、ドリスの奮闘はちょっとした荒療治の意味合いもある。ドリスの精一杯が胸に迫る。

 ドリスには傷ついて欲しくない。けれど、どう見てもドリスを友達としか見ていない年下男。男の言葉に一喜一憂するドリスを、孤独に付きまとわれる人々の魂のように感じさせるのは、フィールドの巧さなのだろう。喜劇演技の中にペーソスを滲ませる。可笑しみと哀しみがせめぎ合い、それがドリスという人の奥行きを深くする。

 もちろん作り手はドリスの言動を笑い飛ばしても、彼女自身を笑い者にしようとはしない。彼女に残酷な仕打ちをしているように見えながら、どこかにそれを見守る視線が保たれる。ポイントは妄想だ。ドリスが頭の中に繰り広げる夢の世界では、年下男はドリスに愛を語ることを躊躇わない。ドリスが最後に見る妄想の後。その後に贈られるプレゼントにホッとする。





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