ジェイソン・ボーン

ジェイソン・ボーン “Jason Bourne”

監督:ポール・グリーングラス

出演:マット・デイモン、アリシア・ヴィキャンデル、ジュリア・スタイルズ、
   トミー・リー・ジョーンズ、ヴァンサン・カッセル、リズ・アーメド

評価:★★★




 『ジェイソン・ボーン』がライヴァルのジェームズ・ボンドやイーサン・ハントと大きく異なるのは、時間の流れの影響をもろに受けている点だ。ボーンが初登場した2002年以来、ボーンは観客と同じように時間を過ごしてきた。前回姿を見せたのは2007年だから、実に10年近くぶりに姿を見せる。そしてそれだけの時間の重みを身体に刻み込んでいる。

 それはボーンを演じるマット・デイモンの容貌の変化にも明らかだ。まだどこかに青年らしさを残していたあの頃から15年経ち、今や40代半ばになり、立派に中年だ。深くなったシワ、肌の張りの衰え、纏う空気はいよいよ物寂しい。その彼が、トレッドストーン計画の裏にまだ隠されていた真実を知る物語。ボーンが真相に近づけば近づくほど、人間臭さが増し、その立体性が魅力的になる。

 中年ボーンはしかし、身体の動きは依然素早い。それをアピールするかのような上半身裸のファイトシーン。鍛えられた肉体でも、どこか中年特有の翳りが感じられるのが素晴らしい。繰り出される拳の重量、反射性に優れた身体の切り返し、無駄の排除された動き。アテネ、ベルリン、ロンドン、そしてラスヴェガスと場所をどんどん変え、その都度大きな見せ場を作る。ときおりウィレム・デフォー系の狂気を滲ませながら。

 このシリーズの主人公はボーンだ。そしてボーンを輝かせる最高の技として投入されるのが、映画史を変えたと言っても過言ではない編集術であることは間違いない。ポール・グリーングラスもそれが売りであることを承知し、次から次へと凝った編集で物語のスピードを上げていく。ただ、その意識が若干裏目に出た感はある。

 編集の自己主張が強過ぎて、ほとんどボーンと並ぶほどに前面にせり出してきているのだ。アクション場面が散りばめられた内容で、そしてその都度編集が高らかに叫ぶ。俺の技を見てくれ。この快感に酔ってくれ。流れに身を任せてくれ。確かに滅多に見られない技ではある。ただ、いくら優れていても、そのアピールが過ぎるとくどくなるものだ。それこそボーンの中年化に合わせて、翳りを感じさせる息遣いの編集になっても良かったのではないか。編集のタイミングで言えば、おそらく一秒あるかないかの差が画面の印象を大きく変える。

 たっぷり用意されたアクション場面では、暴動が巻き起こる最中、アテネでのそれがいちばん見応えがある。人々の醸し出す殺気とボーンの焦燥、彼を追う暗殺者の冷気、離れたところから指示を下すCIAのねちっこさが絶妙の絡まりを見せる。このとき大いに注目したいのは初登場アリシア・ヴィキャンデルの目の力で、小さく華奢な身体に似つかわしくないその威力が、画面に清涼感と緊張感を与えていた。デイモンとヴィキャンデルの絡みはもっと見たかった。





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