アイ・ソー・ザ・ライト

アイ・ソー・ザ・ライト “I Saw the Light”

監督:マーク・エイブラハム

出演:トム・ヒドルストン、エリザベス・オルセン、チェリー・ジョーンズ、
   ブラッドリー・ウィットフォード、マディ・ハッソン、レン・シュミット

評価:★★




 カントリーシンガー、ハンク・ウィリアムスとその妻オードリー・シェパードから思い出すのは、「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」(05年)に詳しいジョニー・キャッシュと妻ジューン・カーターだ。そして考え込む。キャッシュ夫妻にあってウィリアムス夫妻にないものは何だろう。音楽の才能があり、けれど夫は問題を抱えていて、妻はそれに何とか耐えようとする。人間性の違いだけで、こんなにも退屈な男女になるものだろうか。

 出足は期待させる。ウィリアムスに扮したトム・ヒドルストンだけに上からの照明が当たり、歌声を披露する。40年代から50年代にかけての匂いの濃いハットにギター、そしていかにもカントリーなシンプルな装い。時に紫煙を燻らせながら声を響かせる。その佇まいに惚れ惚れする。

 …が、その後の話はどうだ。ウィリアムスとシェパードが結婚するところから始まる物語は、場面が切り替わる毎に、時間をどんどん飛ばしていくものの、起こった出来事を撫でることしかせず、ほとんどふたりの愛憎の年表を読み上げているだけのよう。当然ふたりは魅力的に映らない。

 母親の支配力から完全には逃れられないこと以外説明されないウィリアムスのバックボーン。自身も歌手として成功したいという欲求だけを膨らませるシェパード。互いを思い合う場面は僅かほどにしかなく、後はいがみ合い、罵り合い、けれど人前では関係を取り繕い…の繰り返し。さっさと別れれば良いのに…と何度思わされるのだろう。

 才能のある人間が酒やドラッグで身を滅ぼすのは映画でよくあるパターンで、例外に漏れず、ウィリアムスはアルコール問題を抱えている。女癖も相当悪い。そこにチャームがあれば良いものの、ヒドルストンの爬虫類系の空気がマイナス方向に働いたか、単なるダメ人間に見えてくるのが困りもの。一定間隔で挟まれるライヴ場面は、才能があるのだから許してよ…と言い訳しているみたいだ。しかも、吹き替えなしで挑むヒドルストン(&妻役のエリザベル・オルセン)、そこまで上手くもない。ヒドルストンの音楽パフォーマンスはオープニングがピークだった。

 結局のところ、キャッシュ&カーター組にはハートがあった。欠点も含めた人間臭さに味があった。音楽パフォーマンスからにじみ出る人生の色に陰影があった。ウィリアムス&シェパード組は単に人生の迷子になっているだけに見える。若くして死んだウィリアムスは音楽に残る重要人物だと讃えられる。その重みがここにはない。





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