選挙の勝ち方教えます

選挙の勝ち方教えます “Our Brand Is Crisis”

監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン

出演:サンドラ・ブロック、ビリー・ボブ・ソーントン、アンソニー・マッキー、
   ヨアキム・アルメイダ、アン・ダウド、スクート・マクネイリー、
   ゾーイ・カザン、レイナルド・パチェコ

評価:★★




 サンドラ・ブロックがブロンドで登場するときは警戒した方が良い。コメディに気持ち良くフィットする軽妙な個性のバランスが、ブルネットのときと較べると、格段に悪くなるのだ。そしてバランスを崩したときのブロックは、笑いが痛々しく見える。はしゃげばはしゃぐほど物語が空騒ぎの様相を呈する。『選挙の勝ち方教えます』のブロックはブロンドだ。やっぱりか、何だかフツーだ。

 ブロックが演じるのは2002年のボリヴィア大統領選挙に駆り出される米国の選挙コンサルタントだ。どんな国で、どんな情勢で、どんな候補者がいるのか、そして自分が担当するのはどんな人物なのかすら知らないブロック。人々の運命が懸かった選挙が皮肉られることは容易に想像がつく。実際、作品はそれを目指す。それならば徹底的に行けば良かったのに、実話ゆえか酷く真っ当な選挙批判映画に落ち着く。

 盛り上がらないのはコメディのリズムが悪いからだ。ブロックが参戦を決めたのは、自分に「疫病神」の烙印を押した天敵のビリー・ボブ・ソーントンが対立候補側にいることを知ったからだ。つまり、ふたりのいがみ合いが国の運命を転がすというところにブラックな笑いが弾けるべきだ。ところが、現実感に縛られた演出はふたりの対立を酷くシリアスに捉える。いつものデヴィッド・ゴードン・グリーンなら、何気ない掛け合いにそこはかとない可笑しみを醸し出すのに、どういうわけだかブロックもソーントンも互いに遠慮している気配すらある。とりわけソーントンは黙っていては全く愛嬌のない人なので、もっと喜劇側に寄らないと拙い。

 対立がネガティヴキャンペーン合戦に突入する流れも感心しない。この選挙に限らず至るところで見られる手法だし、選挙関係者たちが足を使って相手の弱みを手に入れる場面がないのがつまらない。見たいのは愛人がいただとか公費を流用しただとか、その証拠ではない。そこに至るまでの七転八倒だ。

 ブロックがサポートするヨアキム・アルメイダの人物像も煮え切らない。ドナルド・トランプよりはマシなことは間違いないものの、善人とも悪人とも判断のつかない曖昧な存在であり続ける。ブロックとの関係もほとんどビジネス的な繋がりしかないため、良い面にしろ悪い面にしろ人間らしさを感じさせる場面が見当たらず、選挙の盛り上がりを削ぐ。対立候補の顔が見えないのも厳しい。

 だからオチが映えない。ブラックな笑いを意識した流れが完全に消滅し、酷くシリアスな態度でそれに向き合う。ブロックはもちろん、周囲の眼差しも一気に沈んだものになる。アルメイダに心酔する若者を転がしていた意味は理解できても、選挙のからくりは見た通りのままに終わる。そんなもんだろう。人は諦観の境地に達している。それを弄ってこそ、価値のある題材ではないか。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ