世界一キライなあなたに

世界一キライなあなたに “Me Before You”

監督:テア・シャーロック

出演:サム・クラフリン、エミリア・クラーク、ジャネット・マクティア、
   チャールズ・ダンス、ブレンダン・コイル、スティーヴン・ピーコック、
   マシュー・ルイス、ジェナ・コールマン、
   サマンサ・スパイロ、ヴァネッサ・カービー

評価:★★★




 男はバイクに撥ねられて首から下が動かない。女は彼の世話係として雇われる。なんだ、ラヴストーリー版「最強のふたり」(11年)か…と決めつけるのは早い。『世界一キライなあなたに』は泣かせの養分をたっぷり含んだ物語ながら、それ以上に人生の躍動に満ちている。

 躍動の燃料となるのはヒロインの真心だ。人を嫌いになることはないと言い切る彼女の、目の前で無気力でいる人への全力が、暑苦しくなることなく、熱い。家は裕福ではなく、自分の夢も家のことを考えて犠牲にしてきた女の子が、ひとりの男との出会いをきっかけに、抑え込んでいた自分を解放させていく。もちろん不機嫌に塞ぎ込んでいた男も変わる。このふたりの変化に、確かな熱を感じる。

 ヒロインを演じるのはエミリア・クラーク。表情が一秒毎にくるくる変わるのが微笑ましいの何の。圧倒的なインパクトを誇る眉毛、ここまで動く範囲の広い女優が他にいるだろうか。喜怒哀楽を受け、デフォルト八の字の眉が、まるで別の生き物として生を受けたように動き、それに釣られるかのように目や口、顔面の筋肉が変幻自在に踊り狂う。

 美人ではないとは言わない。ただ、クラークはひょうきん寄りの美の持ち主だ。大きな垂れ目。その上を走る長く太い眉。大きな鼻と長めの人中。分厚い唇を持つ笑うと裂ける大きな口。それぞれのパーツの主張が煩く、しかし利発さを感じさせる絶妙なバランスで配置されている。その上クラークは身体が小さく、かつむっちり体型だ。作り手がこの面白い素材で遊んでいることは明らかだ。

 ヒロインは服が好きという設定なので、クラークはほとんど場面毎に服をチェンジする着せ替え人形状態。しかもその趣味は洗練より多彩な色を取り入れた、キワモノスレスレの個性的なものばかり。髪もそれに合わせて凝りまくる。クラークを見て呟く人は多いだろう。新種発見。珍獣出没。なんだこのイキモノは!

 美しい景色がたっぷり用意された田舎町に立ち上がるのは、女の忍耐と包容が愛に寄り添う様であり、それが起こす奇跡だ。奇跡はしかし、かえって男のある決意を強固なものにする。女はそれに打ちのめされる。そこのところの掘り下げにやや甘いものがあるものの、少なくとも演者ふたりも作り手も誠実な姿勢を守っていることは間違いない。

 それに後味は悪くない。ふたりの結末が何であれ、そう、ここには人生の躍動があるのだ。躍動は希望と相性が良い。ヒロインの未来が見えてくるようではないか。





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