サスペクツ・ダイアリー

サスペクツ・ダイアリー “The Adderall Diaries”

監督:パメラ・ロマノウスキー

出演:ジェームズ・フランコ、エド・ハリス、アンバー・ハード、
   ジム・パラック、ティモテ・シャラメ、ダニー・フラハティ、
   ウィルマー・バルデラマ、シンシア・ニクソン、クリスチャン・スレーター

評価:★★




 ニューヨークの街並みを遠景で捉えるショットが幾度も挿入されるからだろうか。ソフィア・コッポラ映画を思わせる浮遊感があるからだろうか。インディーズの気配が強く漂っているからだろうか。まるでニューヨークが見る白昼夢のような映画だ。ただし、部分的に。作品全体をこのトーンで包み込んでくれたなら、随分イメージが違っただろうに。

 『サスペクツ・ダイアリー』は作家スティーヴン・エリオットの回想録を基にしているという。父親から暴力を受けた過去を持つエリオットの視線を通して、ふたつの物語が語られる。ひとつは過去に囚われたエリオットの再生。もうひとつは妻が突然失踪するという「ゴーン・ガール」(14年)な事件で犯人扱いされる夫との交わり。物語に一貫性が感じられない理由は、ふたつの物語が上手く絡まないからだけではない。

 演出スタイルこそに一貫性がないためだ。前述のように大都会が落とした夢の欠片のようにまとめてくれれば良いのに、画面の装飾が分裂症状態。スローモーションやクイックモーションの挿入やポルノ映画めいた照明。SMを通り越してアブノーマルに映る性行為。法廷ドラマに迷い込んだかと思えば、気がつけば父と息子の和解の物語へと変貌を遂げる。様々なジャンルの映画を一度に見せられているような、それでいて満腹感には程遠い感触。場面毎にスタイルが統一されていないため、たっぷりの材料を少しずつつまみ食いして、夕飯前に腹一杯になってしまった、そんな外観だ。

 そんなわけだからテーマも彼方此方飛ぶ。虐待やトラウマから始まり、偽証問題が記憶のすり替えに繋がり、ロマンスが生まれた直後には死に直結する変態プレイが始まる。自殺問題やホームレス問題がちらついた刹那に見えるのは、父親の本当の姿だ。

 真相が明らかになるときには物語への拒否感が強くなっている。元凶は主人公にあり、しかもその源になっているものが自己憐憫の果ての妄想だと分かるからだ。エリオットの回顧録にはどう書かれているのか、まるで主人公が人生に言い訳をしているかのようではないか。物事に対しての反応が少ないジェームズ・フランコの演技も力にならない。

 唯一エド・ハリスは良い。乱暴な父親として登場しながら、少しずつイメージを変えていく。とりわけ息子へのメッセージ映像が流れるあたりからの芝居は、物語に関係なく、観る者を惹きつける。ネルシャツとジーンズ、そしてカウボーイハット。昔ながらのスタイルで通すハリスの姿に、人生にもがきながら懸命に生きるアメリカの父親を見る思い。フランコとの差を見せつけた感。





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