グッバイ、サマー

グッバイ、サマー “Microbe et Gasoil”

監督:ミシェル・ゴンドリー

出演:アンジュ・ダルジャン、テオフィル・バケ、ディアーヌ・ベニエ、
   オドレイ・トトゥ、ジャナ・ビトゥネロヴァ

評価:★★★




 乱暴に言ってしまうと、フランス版「スタンド・バイ・ミー」(86年)だ。けれど思う。「スタンド・バイ・ミー」が何と言うか、人生だとか生きることだとかへの切実な思いに密着していたのに対し、『グッバイ、サマー』は登場人物の思考も物語の佇まいも、大分幼いのではないか。

 とは言え、ダニエルとテオ、14歳のおフランス少年ふたりを好きになるのは容易い。ふたりは学校生活から浮き上がった存在だ。ダニエルは顔が女の子のように可愛らしく、「ミクロ」(ちび)と呼ばれている。テオは父親が骨董屋である関係で少々臭うため、あだ名は「ガソリン」だ。ふたりはその状況に怒ることはあっても、決してメソメソしない。

 そこで飛び出すのがテオのセリフ。彼らをからかう相手に対して「貧弱なブルジョワの声が聞こえる」。現状を悲観するダニエルに向かっては「今日のボスは明日の犠牲者だ」。ミシェル・ゴンドリーの個性はこれまで、唯一無二の世界観が独創的美術、或いはヘンテコな物語に反映されることが多かった。それがここではその熱量が少年ふたりに捧げられている。はみ出し者ふたりの風変わりな立ち位置を愛でる。

 ただし、期待通りユニークな装置も登場する。いちばんはやっぱり、夏休み、ふたりが「旅」に出る際の移動自動車となる「動く家」だろう。廃品を掻き集めて作られた、完璧玩具の外観と趣に、たっぷりの遊び心と愛と想像力が放り込まれる。もちろんふたりの行く道のメタファーになる。

 旅の道中、ふたりは様々なことを経験する。謎めいた歯医者に出会い、風俗店で散髪し、好きな女の子の水着を覗き見し、乱暴な言葉で傷つけ合い、けれど窮地に陥れば助け合い…。つまりこれまで多くの映画が描いてきたことが繰り返される。これを新味ないと斬るのは簡単だけれど、そこにある普遍性をゴンドリー風に味つけたところこそがミソであることを忘れるべきではない。

 抜群のケミストリーを見せる少年ふたりが良い。ダニエルに扮したアンジュ・ダルジャンは顔だけじゃなく所作に女の子っぽさがあり、けれどだからと言って少女的ではない空気感。ボーズになる途中過程の衝撃ショットもサイコー。テオ役のテオフィル・バケはダルジャンに較べると随分大人っぽく見えるものの、口から出てくる言葉に哲学性を持たせない大らかさに、気持ち良い少年性が感じられる。前述のようにテオのセリフが響くのは彼のおかげだろう。





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