極悪の流儀

極悪の流儀 “Mojave”

監督:ウィリアム・モナハン

出演:ギャレット・ヘドランド、オスカー・アイザック、マーク・ウォルバーグ、
   ルイーズ・ブルゴワン、ウォルトン・ゴギンズ、フラン・クランツ、
   ダニア・ラミレス、マット・ジョーンズ、カイリー・ロジャーズ、
   ヘイリー・マグナス、クリストファー・ニーマン、

評価:★★




 イエス・キリストは荒野を40日間彷徨う間、悪魔と対峙することを強いられた。『極悪の流儀』の主人公は砂漠で、ライフルを持った謎の男と出会い、執拗に付きまとわれる。ふたりの会話にキリストの名前も登場する。主人公は男の追撃を振り切ることができるだろうか。

 ギャレット・ヘドランド演じる主人公はハリウッドの住人だ。どうやら仕事で成功を収め、悠々自適の裕福な暮らしを送っている。けれど幸せには見えない。沈んだ顔を崩すことなく、彼は突然、砂漠へと向かう。「金はある。でも虚しいんだよ!」と全身で叫びながら。甘ったれた憂鬱が砂漠の中でもがく。

 憂鬱が出会うのは獰猛な魂だ。獰猛を体現するのはオスカー・アイザックだ。憂鬱と獰猛が溶け合うことはなく、瞬く間に始まるのは殺し合いだ。最初は憂鬱が勝利を収める。けれど獰猛はそれを良しとしない。憂鬱の後を追いかけ、徐々に彼を追い詰めていく。憂鬱は窮地に陥る。周辺人物もとばっちりを受ける。

 戦いにナイフや銃が出てくる。けれど、彼らが本当に突き合わすのは哲学的感性だ。何が不満で、何に怒り、何を享受し、何を拒否する。それぞれが強気の姿勢を守り、互いを牽制する。ヘドランドにハリウッドの住人らしい思考が見られ、アイザックが本能的に動く様、もう少しケレンが欲しいところだ。

 ただ、この物語で最も面白いのは、憂鬱と獰猛が同一人物と解釈できそうなところにあるのではないか。虚像と実像がせめぎ合いを見せながら、距離を縮めていく。砂漠から都会へ、そしてまた砂漠へ。元々近く見えた互いの距離が、さらに縮まっていく。人間の心の宇宙をふたりの人間に体現させ、その生命力を試しているような気配がある。

 まあ、気取り過ぎじゃないかとは思う。ヘドランドとアイザックが感情を剥き出しにすることなく、冷静を維持するのが、時に退屈を誘う。ユーモアがほとんど撥ね付けられるのも苦しい(とりわけヘドランド)。何より勝手に暴走して勝手に完結しているのもどうか。作り手の題材への独り善がりな態度が息苦しさを生んでいる。





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