ロック・ザ・カスバ!

ロック・ザ・カスバ! “Rock the Kasbah”

監督:バリー・レヴィンソン

出演:ビル・マーレイ、ケイト・ハドソン、ゾーイ・デシャネル、
   ダニー・マクブライド、スコット・カーン、ブルース・ウィリス、
   テイラー・キニー、リーム・リューバニ

評価:★★




 物語の大半はアフガニスタンで展開する。大統領の暗殺未遂があったばかりで、市内では日常のように爆発がある。レストランやデパートへの西洋人の立ち入りは禁じられ、それゆえ一日の大半をホテルで過ごすことを強いられる。車に乗れば不審者と間違えられて銃撃戦が始まり、砂漠のど真ん中で車が炎上する。シリアスな状況だけれど、『ロック・ザ・カスバ!』はコメディだ。

 推測でしかないものの、企画の発想の第一段階は、このアフガニスタンにビル・マーレイを放り込んだらどうなるか、というところにあったのではないか。大抵は不機嫌で、大抵は表情を変えることがなく、大抵はそれだけがやたら可笑しいマーレイ。彼を危険地帯に送り込み、それゆえの笑いを投下しようじゃないか。なるほど出発点は悪くない。

 誤算はマーレイが演じる音楽マネージャーを普通の性格に設定してしまったことか。いや、周りが案外濃いキャラクターで固められているため、相対的にマーレイが普通に見えると言うべきか。おかげでマーレイをエンジンにして物語に速度をつけることができず、さらにはマーレイがリアクション芸に徹しているようなフラストレーションが積み重なる。

 マーレイがアフガンの地方都市で美声を持つ少女と出会ってから、ようやく物語が前のめりになる。彼女をアフガンのオーディション番組に売り込むのだ。けれど、この売り込み作戦がこれまた真っ当なもので、宗教が理由で夢に正直に向き合えない者へのエールというお行儀の良いドラマ以上のものが見えないのが辛い。マーレイは彼女を見守る気の良いオッサンと化す。音楽の魅力もほとんど前面に出ない。

 風刺が効いていないということだろう。イスラム教の地で、女性がテレビ番組に出て歌う意味。それも英語を使う意味。それに深く斬り込めず、ただ「ヒシャブを着て踊るなよ」と歌唱前に脅される言葉だけが浮き上がる。彼女の命がけのパフォーマンスが平和へのメッセージになるだなんて、生温いのではないか。まあ、ヒントになった女性の存在があるから、仕方がないのかもしれない。

 もしかしたら番組出演後の少女の運命こそ、描くべきところだったのではないか。彼女を支持する人間がいた一方、反発を抑えられない勢力もいるはずで、ふたつが衝突したとき、コメディの可能性は大きく広がる。マーレイも動く価値のある演技を見せられる。濃いキャラクターたちも水を得る。安易な感動に落とし込むには勿体ない題材だ。





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