ぼくとアールと彼女のさよなら

ぼくとアールと彼女のさよなら “Me and Earl and the Dying Girl”

監督:アルフォンソ・ゴメス=レホン
治療 手術 入院 薬局
出演:トーマス・マン、オリヴィア・クック、RJ・サイラー、
   ニック・オファーマン、モリー・シャノン、ジョン・バーンサル、
   コニー・ブリットソン、ヒュー・ジャックマン
ビデオ ベッド 8mm 卒業
評価:★★★




 『ぼくとアールと彼女のさよなら』は主人公グレッグの一人称の物語だ。目立たず、孤立して、自己嫌悪でいっぱいの世界に生きる少年。その人物像が面白い。自分を貧相なヒーヴァー顔だと言ってのけ、ママの小言に身悶えして床を這いつくばり、フランチェスカという名のクッションと愛し合い、「summer」は「summ」の比較級かと呟く。そう、彼は掴み所がない。

 そして彼自身もおそらく、自分というものが分かっていない。それも仕方ないか。高校生として最後の一年を送る彼は、まだまだ精神的に未熟なところが多い。その彼がしばらく疎遠だった幼馴染のレイチェルと最接近する。彼女が白血病にかかり、母親から元気づけるように言われたからだ。グレッグは抵抗する。観客も抵抗する。

 そりゃそうだ。白血病の女の子と少年の組み合わせだなんて、泣かせに走る気満々じゃないか。友人アールと共に映画作りにも励むグレッグは距離を置いてレイチェルに近づく。アルフォンソ・ゴメス=レホンが狙いを定めるのは、その気まずいと言って良い距離感に揺さぶりをかけること。生涯一度の恋なんて始まらなくても、その距離感が愛しくなる。

 本当は怖くてたまらないはずのに冷静な態度を保つレイチェル。病人への態度にまごつきながら自分のペースを作り出すグレッグ。いつもマイペースでグレッグの「仕事仲間」をやってのけるアール。彼らが見せるアンサンブルは、場面毎に姿形を変える。互いへの距離が変わっていくからだ。彼らは些細なそれに悩む。大人びた態度を取っても、まだそれが気にかかって仕方ない。

 ゴメス=レホンは難病映画になることを巧妙に避ける。グレッグの飄々とした態度を軸に置き、現実が少しずつ近づいてくる恐怖にも目を向けながら、そこにある生の輝きを見つめる。生の輝きとは人と人がぶつかることで生まれるそれだ。変に人生賛歌に走ることも、大げさに泣き喚くこともないままに、その何気ない空気を愛する。

 グレッグとアールが映画を撮ることもあり、映画ネタが散りばめられているのが嬉しい。しかもチョイスがなかなか捻られている。グレッグがヴェルナー・ヘルツォークのモノマネをする場面なんて、映画ファンじゃなきゃ可笑しさは分からないだろう。タイトルをパロディにして作る彼らの作法、それをもっとじっくり見たかった。とりわけレイチェルに捧げられる映画は、もう少し飾り立てても良かったのではないか。





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