SPY スパイ

SPY スパイ “Spy”

監督:ポール・フェイグ

出演:メリッサ・マッカーシー、ジェイソン・ステイサム、ジュード・ロウ、
   ローズ・バーン、ミランダ・ハート、ボビー・カナヴェイル、
   アリソン・ジャニー、ラード・ラウィ、ジェシカ・チャフィン、
   リチャード・ブレイク、モリーナ・バッカリン、カーティス・ジャクソン

評価:★★★★




 冒頭CIAエージェントのジュード・ロウが颯爽と活躍を見せる。デンジャラスな生え際を(あんまり)感じさせない凛々しい佇まいに、美しいロウが帰ってきたと喝采を贈る。そのままジェームズ・ボンド役がイケそうではないか。その後のタイトルクレジットを見ても分かるように、『SPY スパイ』は「007」を大いに意識している。ただし、パロディは目指さなかった。正解だろう。

 核爆弾をテロ組織に渡すのを阻止すべくエージェントが活躍する。この手垢のついたプロットをコメディで味付けするだけではつまらない。ポール・フェイグが挑むのはメリッサ・マッカーシーのセンスで味付けすることなのだ。TVシリーズ「24 -TWENTY FOUR」のクロエのようなサポート業務についているマッカーシーが慣れない現場に参戦。ジェイソン・ボーンよろしく思いがけない潜在能力を呑気に開花させながら、マッカシーが輝く。

 ヒロインが決して美人ではなく、かつ太っているという容姿をギャグに変換することの多いマッカーシー映画。観客もそれを期待する。フェイグはその雛形に安易に乗っかったように見えて、案外デリケートな処理を施す。フェイグは観客の期待通りマッカーシーの所作から笑いを引き出し、かつそれをクールなレヴェルまで引き上げるのだ。容姿に恵まれない人への偏見に蹴りを入れながら。

 マッカーシーのアクションはすんなりキマらない。それを承知した上で「覚醒」を本格的に飾り立てる。銃やナイフも乱れる格闘場面の意外な生々しさ、飛行機や厨房内部での格闘、バイクやヘリコプターを使ったバトル。いずれもマッカシーが可笑しくて、カッコイイ。マッカシーの言葉はいつも通り、毒入りでも嫌みがない。アクション場面でスタント丸分かりなのはご愛敬。スタントが男にしか見えないのは狙い通り…なのか!?

 マッカーシーは敵に正体を悟られないようにするため、次々変装を見せる。これが何をやっても「オバチャン」になってしまうのが、いっそ素晴らしい。オバチャンらしく秘密の小道具が除菌スプレーや尻拭きティッシュ、下剤になるのに苦笑い。ヨーロッパに紛れ込むと浮き具合が凄まじいのも特筆すべき点だろう。けれど、近年の快進撃のせいもあるのか、オバチャンはオバチャンでもスターオーラを感じさせるところが良い。時折ふと覗かせる女心も切なく愉快な隠し味。

 後半になると、あらら、マッカーシーの存在が敵に知られてしまう。その際、実は隠れ護衛係だと大芝居を打つ展開が、思いの外効いている。それまで一般庶民として接していた敵に対して、態度が豹変。言いたいことは言う敏腕ボディガードとして、マッカーシーが別の角度から光り始める。この際、敵役のローズ・バーンがなかなかの怪演を見せているのもポイントで、女ふたりの掛け合いに中毒性まである。

 バーンはもちろん、その他の周辺人物も皆キャラクターが立っている。ジェイソン・ステイサムの鬱陶しいエージェントぶりはそのままセルフパロディになっているし、ミランダ・ハートが見せる間合いの巧さはコメディのリズム作りに大いに貢献している。マッカーシーはというと、その巨体でそれらを全て受け止めている。大きいのは身体だけではない。器こそが大きいのだ。物語が終わりを迎える頃には、誰の目にもマッカーシーが「イイオンナ」に見えるはずだ。多分。きっと。おそらく。





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