あなたのママになるために

あなたのママになるために “Ma ma”

監督:フリオ・メデム

出演:ペネロペ・クルス、ルイス・トサル、 アシエル・エチェアンディア、
   テオ・プラネル、 アレックス・ブレンデミュール、シルヴィア・アバスカル

評価:★★




 不況下のスペイン、失業中の女教師に医師が告げる病名は乳癌だ。女性の八人に一人がかかるという恐ろしい病。『あなたのママになるために』の前半は、さながら乳癌にかかった人向けのガイドのよう。ステージ3のヒロインが、色々な検査を受け、抗癌剤を投与され、その副作用に苦しみ、けれど決して諦めない様を映し出す。

 そこにぶつけられるのがヒロイン以上に気の毒かもしれない男だ。レアル・マドリードのスカウトマンらしいその男は事故で娘を亡くし、妻も昏睡状態。男と女は急速に距離を縮めていく。その寄り添い方は、さほどデリケートではないメロドラマのよう。女の一人息子がサッカー少年というのも出来過ぎで、簡単に言えば、作為が至る所に感じられるのが難だ。

 中盤になると一つの峠を越え、新しい家族が出来上がっている。困難を乗り越えた先にある試練。それを描くのは問題ないにしても、この後起こる出来事は、ほとんど悪趣味に近い悲劇ではないか。その上そこに、安易に「希望」までちらつかせるのが、厚顔無恥と言うか破廉恥と言うか。

 作り手はおそらく「生きる」ことの意味や意義を問いかけたいのだ。けれど、次々不幸の波に呑み込まれ必死にもがくのにも関わらず、ヒロインからは泥臭さが感じられない。むしろ彼女は神々しい存在、魂の美しい存在であり続ける。絶望の中でも人生を愛する彼女の美しさを愛でる、その気配があまりに強く、かえって白々しく見えるのはどうなのか。

 実際の闘病がこんなに美しくキマるはずはなくて、ペネロペ・クルスがいかに身体を張った演技を見せても、そこに現実感が感じられない。彼女が過剰にメソメソイジイジしないのは数少ない美点で、クルスはそこにユーモアさえ滲ませるものの、物語に命は吹き込まれない。

 救済のヒントは医師にあったのではないか。ヒロインの主治医はロシアから養女をもらう日を心待ちにしている。クルスは時折、主治医の元に来るはずのナターシャという名の少女の幻影を見る。その意味は終幕になると分かるものの、メロドラマを強調する以外の効果を上げない。主治医との関係も含めて、その点で脚本をもっと練られれば、難病映画以上の面白味が出たかもしれない。主治医が実は抜群の歌唱力の持ち主で、時折聞かせる歌声により、主題を明確にして喜んでいる場合ではない。いや、確かにじっくり聞きたくなる歌声ではあるけれど…。





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