ヤング・アダルト・ニューヨーク

ヤング・アダルト・ニューヨーク “While We're Young”

監督:ノア・バームバック

出演:ベン・スティラー、ナオミ・ワッツ、アダム・ドライヴァー、
   アマンダ・セイフライド、チャールズ・グローディン、
   アダム・ホロヴィッツ、マシュー・マー

評価:★★★




 ドキュメンタリー映画監督のベン・スティラーとプロデューサーのナオミ・ワッツは40代の夫婦。新進監督のアダム・ドライヴァーとアイスクリームを売るアマンダ・セイフライドは20代の夫婦。世代の違う二組のカップルが親しくなれば、当然浮かび上がるのはジェネレーション・ギャップだ。もちろん可笑しみと結びつく。『ヤング・アダルト・ニューヨーク』はしかし、それだけを追い求める映画ではない。

 ノア・バームバックは、多くの人にとって決して他人事ではないだろうことに気づく。人はどういうわけか他人と自分は違う生き物だと思い込み、かつ自分はいつまでも精神的に歳を取らないと信じ込んでしまうのだ。精神的に歳を取ることは成長とも密接な関係があることに無視を決め込んで。スティラーとワッツはその典型で、ドライヴァー&セイフライド夫妻と意気投合したことで、あぁ、やはり我々は若いのだと大喜び。

 もちろんこれは幻想であるわけで、バームバックはそれを丁寧に暴き出していく。その哀れに親しみを抱かせるところこそ、バームバックの真骨頂。若者と知り合うことで得意気にすらなっていた者たちが現実を突きつけられ、怒ったり哀しんだり…。バームバックはしかしその滑稽味の中に人生や人間の心の宇宙を見る。スティラーとワッツは20代にも40代にも、もちろん30代にも属さない迷子の状態にある。

 ニューヨークの街中に溶け込んだ四人の俳優が素晴らしい。スティラーの冷静なのかそうでないのか分からない慌てふためき方も、ワッツの無理のあり過ぎるヒップホップダンスも(大笑い必至)、セイフライドの年齢を重ねた者から見ればエイリアン的な感性も…。けれど、いちばんの注目はドライヴァーだ。

 スティラーと並んで歩くショットを見ると良く分かるのだけれど、ドライヴァーは背が高いだけでなく、腕が異様に長い。その上肩幅もしっかりあるものだから、まるで腕から手にかけてが羽根のように見えるときがある。思わず「怪鳥」なんて言葉が頭に浮かんでしまうくらいに。物語が進むに連れ明らかになるドライヴァーの真実が面白い。本性を現すとか化けの皮が剥がれるとか、展開上はそういう表現が合うはずなのに、ドライヴァーはそれでいて飄々と自分のペースを崩さない。それまでの段階でドライヴァーは、それを守る仕込みを完成させているからだ。用意周到、かつ余裕綽々。

 「イカとクジラ」(05年)の頃のバークバックはその辛辣な眼差しを観客の肌に突き立てるような演出が目立っていたのに、このところそこに優しさや温もりのようなものを感じさせるようになった。断然今の方が魅力的だ。同じ皮肉な物語でもその分重層性が感じられる。詩情を漂わせるニューヨークもバームバックの変化を歓迎している印象だ。





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