ラブ・トライアングル 秘密

ラブ・トライアングル 秘密 “3 coeurs”

監督:ブノワ・ジャコー

出演:ブノワ・ポールヴールド、シャルロット・ゲンズブール、
   キアラ・マストロヤンニ、カトリーヌ・ドヌーヴ、
   アンドレ・マルコン、パトリック・ミル

評価:★★★




 小さな町で出会った大人の男と女が惹かれ合う。パリでの再会を約束するも、男は心臓に病気があり、それもあって約束の時間に間に合わない。後に再び対面したとき、それぞれには違うパートナーがいて…。…という「邂逅」(39年)的、或いは「めぐり逢い」(57年)的設定はメロドラマ風だ。実際、後半部はその要素がいよいよ強くなる。けれど、お値段安めな穴へと誘うそのトラップを何とか切り抜ける。ブノワ・ジャコーによるおフランスの意地。

 男は女に言う。「女性との出会いでいちばん興奮するのは、自分が相手の私生活の一部になるということだ」。こんな生々しくも円熟した言葉が似合う男。そしてそう言わせる女。ジャコーは彼らに見合った恋愛とは何か、知恵を絞る。恋愛映画の王道を行く話を色づけする演出に捻りを加える。顕著なのは音楽だ。

 恋愛映画らしからぬ不穏な音が差し込まれる。それも幾度も。ほとんどホラーの音色で、ジャコーはその通り、まるでふたりの運命をホラー映画のように見つめている節がある。女には二度と会えないと諦めた男は、別の恋に落ちる。けれど、女ふたりは姉妹だった。男がさっさと真実を言えば丸く収まりそうだけれど、ジャコーはそれを拒否、男女ふたりが抱えた秘密が牙を剥く瞬間に向けて導火線を燃やす。

 他人には言えないことが膨れ上がっていく怖さ、そしてそれが時の流れと密着するときの破壊力を、ジャコーは冷静に切り取っている。後半男女の関係が盛り上がるのも、バレるバレないのサスペンス色が強くなるのも、これを凝視した演出に徹しているからだ。そしてジャコーは起用した俳優たちが、その重みに耐えられる者たちだと知っている。

 ブノワ・ポールヴールド、シャルロット・ゲンズブール、キアラ・マストロヤンニらの佇まいから強く思うのは、フランス俳優たちは疲れを魅力的に見せる技に長けているということだ。一見ポールヴールドはどこにでもいそうなオッサンだ。別にハンサムではないし、前からも後ろからもハゲに攻められる厳しい現実もある。けれど、人生に疲れた佇まいは妙に色っぽい。ゲンズブールもパンツルックやロングコートを魅力的に見せるのはもちろんのこと、人生に疲れながら煙草を吸うショットが画になること。

 言い換えるなら、彼らは生活の隙間に潜む磁力を見逃さない。素の自分を知り抜いた上で、それを役柄に滑り込ませ、かつ魅力的に輝かせる。そういう俳優たちによる掛け合いは、たとえ平凡な展開でも見応えがあるものになる。米国の俳優が同じことをやろうとするとどういうわけか、現実味が消え失せる。日本の俳優だと貧乏臭くなる確率が高くなる(佐藤浩市や西島秀俊のような、草臥れた感じが良い俳優は極僅か)。『ラブ・トライアングル 秘密』はやはり、おフランスの意地を堪能する映画ではないか。





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