クリスマス・ストーリー

クリスマス・ストーリー “Un conte de Noël”

監督:アルノー・デプレシャン

出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャン=ポール・ルシヨン、アンヌ・コンシニ、
   マチュー・アマルリック、メルヴィル・プポー、
   イポリット・ジラルド、エマニュエル・ドゥヴォス、
   キアラ・マストロヤンニ、ローラン・カペリュート、
   エミール・ベルリング、フランソワーズ・ベルタン

評価:★★★




 クリスマスに集まるある家族の物語。久しぶりに集まった家族の、それぞれが抱える秘密や確執が次々と明らかになるというのは、よくある話だ。アメリカ映画だとクリスマスじゃなくて感謝祭を舞台にすることも多いのだけれど、『クリスマス・ストーリー』はおフランス映画で、クリスマスが妥当なところだろう。それにおフランスというのが何よりのポイント。

 家族とは一体全体どんなものか。普遍的なこの問いは、これまでにも何度も語られてきたけれど、一向に答えが出ることがない。家族の数だけ家族の形があるのだから当たり前と言えば当たり前。それを承知の上で、どこかで何かが欠けている家族を描き出していく。この映画でも別段革新的な家族形態が用意されているわけではない。それどころか「何故」と思うところの方が多いかもしれない。家族なのに何故?家族だから何故?決してカタルシスがあるわけではないし、一発逆転の出来事が起こるわけでもない。「何故」を「何故」のまま浮かび上がらせ、しかしそうすることで家族がぼんやりと見えてくる。そこにはキレイゴトなんかない。割り切りもない。長女の心理模様だけは辛気臭いだけのようにも思えるけれど…。

 テーマや題材は平凡でも、意外に演出が面白く、それゆえ心に残る場面が多い。フランス特有の辛辣な視線やセリフ、ブラックジョークが散りばめられているし(母親が難病だからと言って、泣かせには絶対に走らない)、登場人物が観客に話しかけるし、突然分割場面にもなる。音楽も色んなジャンルが次々流れ、映画ネタも塗される。時折ホラー映画、或いは怪奇映画テイストになるのもユーモラスでイイ(母親と息子の新しい恋人が一緒にショッピングする場面がなんとも強烈)。

 人物の出し入れの巧みさには大いに感心する。一発では理解できない大人数の人間関係が、見事に整理されていくのだ。その人物の人となりや人生を掛け合いや回想により手際良く描くのはもちろん、互いがどう思っているかも繊細にスケッチされていく。互いが互いを思う気持ちというのは、決して同じ分量ではない。方向も違うだろう。そこのところが非常に敏感な見せ方になっている。例を挙げるなら、トラブルメイカーの次男への各人の思い。ある者は心底嫌い、ある者は無償の愛を示す。またある者はちょっと面倒臭く思っているし、別のある者は好奇心が抑えられない。下手な作家だと誰も彼もが同じ思いを持っているとしてまとめてしまうところだし、気を遣ったとしてもなかなか描き分けはできるものではない。

 血の繋がりのない人間の配置の仕方も巧い。血に惑わされない人間を適当な場所に置くことで、物語の風通しが良くなっているし、人間関係の把握に一役買っている。特に次男の恋人の動かし方が絶妙。主役家族から一定の距離をとって見られるのは、彼女の存在があればこそだ。

 フランスのスターたちが大量に出てくるのも、単純に嬉しい気分になる。いちばん目立っているのはカトリーヌ・ドヌーヴであることは間違いない。役柄も家族の柱的なところがあるけれど、ドヌーヴも他の俳優たちとは一緒にしないでと言わんばかりの迫力で圧倒する。泣き叫ぶことなどなしにやってのけるのがホンモノのスター。ウエスト消失のドスコイ体型も頼もしいと言い包めてしまう。孫の劇を眺めるときの女王座りなんて、大いに笑えた。ドヌーヴ以外では次男の恋人を演じたエマニュエル・ドゥヴォスがやっぱり不敵な存在感で見入る。決して美人ではないのだけれど、目の離せないアクの強さを持っている人だ。ドヌーヴと一対一の場面でも全く負けていない。並の男では扱い切れないだろう。





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