シング・ストリート 未来へのうた

シング・ストリート 未来へのうた “Sing Street”

監督:ジョン・カーニー

出演:フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、ルーシー・ボーイントン、
   ジャック・レイナー、マリア・ドイル・ケネディ、エイダン・ギレン、
   ケリー・ソーントン、ベン・キャロラン、マーク・マッケンナ

評価:★★★




 今音楽映画を撮らせたら世界一かもしれないジョン・カーニー。『シング・ストリート 未来へのうた』がこれまでと違うのは、主人公と周辺人物が、やっと毛が生え揃うかどうかという15歳の少年とその愉快な仲間たちだということだ。もしかしたらカーニーの自伝的要素が強いのかもしれない。

 舞台は1985年のダブリン。アメリカやイギリスから入ってくるMUSIC VIDEOに心酔する主人公がバンドを結成。それをきっかけに新しい自分とその可能性を見出していく。…とだけ書けば何だか格好良いものの、バンド結成理由は一目惚れした年上の女の子(自称モデル)の気を引くため、思わず「俺のバンドのVIDEOに出ない?」と口走ってしまったから。これが燃料にあるから、思春期特有の思い込んだら一直線的な幼い展開になる。

 けれど、憎めない。むしろ、そのストレートな想いが響く仕掛けがてんこ盛り。少年はいじめられっ子で、親が離婚寸前で、暮らしは貧しい。世間一般の価値観から見れば冴えない境遇に置かれながら、しかしそれでも決してメソメソせず、根拠のない自信と共に突っ走る。若さがなせる業に愛嬌があるのだ。少年を演じるフェルディア・ウォルシュ=ピーロの頬が15歳にしてまだ紅いのが妙に良い味だ。

 演奏場面はお世辞にもクールだとかキマッているとか手放しの称賛はし難い。しかしカーニーは、その懸命のパフォーマンスを決して笑いものにはしない。クソ溜めのような毎日の中でもがく若い命のガッツを優しく見守る。恥をかく?結構じゃないか。今恥をかかないでどうするっていうんだ。…とでも言いたげに。

 ジャック・レイナー演じる少年の兄貴が絶妙のサポートを見せる。夢破れ、家でハッパを吸ってフラフラしているこの兄貴が、少年の傷つきやすい心をさりげなく支えている。同じように音楽好きで、心の痛みを知っていて、いざというときは誰よりも頼もしく尻を叩いてくれる兄貴。レイナー、初めて意識して観たのが「トランスフォーマー ロストエイジ」(14年)だったので完全に誤解していたけれど、このところ良い仕事が続いている。

 楽曲にはもろ80年代の匂い。ザ・クラッシュ、A-ha、デュラン・デュラン、ザ・キュアー、ジョー・ジャクソン…あたりが次々流れ、映画のためのオリジナル楽曲もそれらに似せている。よって音には重みはないものの、化粧ばりばりのヴィジュアルも手伝って、あぁ、何と懐かしい気分。「ONCE ダブリンの街角で」(06年)「はじまりのうた」(13年)からするとカーニーはこの手の音は嫌いなのではないかと思い込んでいたので、ちょっと嬉しい。まあ、今この音に、どっぷりいつまでも浸かっていたいとは思わないのだけど…。





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