死霊館 エンフィールド事件
死霊館 エンフィールド事件 “The Conjuring 2”
監督:ジェームズ・ワン
出演:ヴェラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、フランシス・オコナー、
マディソン・ウルフ、サイモン・マクバーニー、フランカ・ポテンテ、
ローレン・エスポジト、パトリック・マコーリー、ベンジャミン・ヘイ
評価:★★★
何が驚くって、作品に漂う風格に驚く。一言で言ってしまえばお化け屋敷ホラー。B級映画好きにアピールするチープで愛嬌のある装飾をどれだけ施すことができるか。この手の映画はそれにかかっているものだろうに、何と言うか、大人の映画ファンにこそ見て欲しいと思わせる、堂々たる佇まいだ。
監督:ジェームズ・ワン
出演:ヴェラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、フランシス・オコナー、
マディソン・ウルフ、サイモン・マクバーニー、フランカ・ポテンテ、
ローレン・エスポジト、パトリック・マコーリー、ベンジャミン・ヘイ
評価:★★★
何が驚くって、作品に漂う風格に驚く。一言で言ってしまえばお化け屋敷ホラー。B級映画好きにアピールするチープで愛嬌のある装飾をどれだけ施すことができるか。この手の映画はそれにかかっているものだろうに、何と言うか、大人の映画ファンにこそ見て欲しいと思わせる、堂々たる佇まいだ。
「死霊館」(13年)から3年、『死霊館 エンフィールド事件』は70年代イギリスが舞台だ。扱われるのは心霊現象好きにはお馴染みらしいロンドン北部で実際に起こったエンフィールド事件。寂れた借家で次々起こる怪現象を追う。その見せ方に奇を衒ったところはない。極めてオーソドックスな恐怖演出と言って良い。なのに何故、こんなに魅せるのか。
ひとつはカメラワークの巧さ。ポルターガイストが発生するのは決して広いとは言えない邸宅で、カメラが自らが霊にでもなったかのように自在に動く。今一瞬何かが見えなかったか。日常生活でそういう場面に遭遇したとき、人は二度見をするものだけれど、カメラにそれに通じる呼吸があり(目に見えない何かの目を通して事件を目撃しているかのような気配)、なおかつそこに滑らかさが付随する。
けれどやはり、このシリーズは物語の練り込みに技が光る。シングルマザーと四人の兄弟姉妹からなる裕福ではない一家と、お馴染みパトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガが演じるウォーレン夫妻。彼らのストーリーが同時進行で語られ、それが遂に交錯するとき、恐怖が何倍にも膨れ上がる仕掛けが散りばめられている。キャラクターの描き込みを優先し、それが功を奏している印象だ。
その流れで、霊と悪魔の違いを明確に打ち出している点がとりわけ面白い。日本人的感覚では違いにさほど敏感になることがないものの、このふたつは全くの別物。それを念入りに打ち出した上での物語が展開する。終幕に繰り出されるツイストを見よ。捻られているだけではない。恐怖と密着したドラマが大変な迫力と共にせり出してくる。
それにしても、前作同様、クライマックスの怒涛の展開のテンションが尋常ではない。遂に夫妻が真相に気づくあたりから徐々に速度が上がっていてき、一度トップギアに入ってからはそのスピードを前のめりでキープする。それまでの伏線も綺麗に回収しながら、同時に夫妻や家族の想いを熱くさせながら、もちろん恐怖を次々投下しながら、だ。
大サーヴィスとはこのことで、エピローグ的部分まで来ると、ホラーというよりドラマを堪能した充実感に満たされる。70年代ミュージックはもっと大胆に使っても良いし(でも、ウィルソンが「Can't Help Falling in Love」をギターで弾き語りする件は名場面)、心霊現象をペテンだと言い張る女を一泡吹かせる場面がないのは大いに残念。もちろん些細ないちゃもんだと言って良い。


ひとつはカメラワークの巧さ。ポルターガイストが発生するのは決して広いとは言えない邸宅で、カメラが自らが霊にでもなったかのように自在に動く。今一瞬何かが見えなかったか。日常生活でそういう場面に遭遇したとき、人は二度見をするものだけれど、カメラにそれに通じる呼吸があり(目に見えない何かの目を通して事件を目撃しているかのような気配)、なおかつそこに滑らかさが付随する。
けれどやはり、このシリーズは物語の練り込みに技が光る。シングルマザーと四人の兄弟姉妹からなる裕福ではない一家と、お馴染みパトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガが演じるウォーレン夫妻。彼らのストーリーが同時進行で語られ、それが遂に交錯するとき、恐怖が何倍にも膨れ上がる仕掛けが散りばめられている。キャラクターの描き込みを優先し、それが功を奏している印象だ。
その流れで、霊と悪魔の違いを明確に打ち出している点がとりわけ面白い。日本人的感覚では違いにさほど敏感になることがないものの、このふたつは全くの別物。それを念入りに打ち出した上での物語が展開する。終幕に繰り出されるツイストを見よ。捻られているだけではない。恐怖と密着したドラマが大変な迫力と共にせり出してくる。
それにしても、前作同様、クライマックスの怒涛の展開のテンションが尋常ではない。遂に夫妻が真相に気づくあたりから徐々に速度が上がっていてき、一度トップギアに入ってからはそのスピードを前のめりでキープする。それまでの伏線も綺麗に回収しながら、同時に夫妻や家族の想いを熱くさせながら、もちろん恐怖を次々投下しながら、だ。
大サーヴィスとはこのことで、エピローグ的部分まで来ると、ホラーというよりドラマを堪能した充実感に満たされる。70年代ミュージックはもっと大胆に使っても良いし(でも、ウィルソンが「Can't Help Falling in Love」をギターで弾き語りする件は名場面)、心霊現象をペテンだと言い張る女を一泡吹かせる場面がないのは大いに残念。もちろん些細ないちゃもんだと言って良い。

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