疑惑のチャンピオン

疑惑のチャンピオン “The Program”

監督:スティーヴン・フリアーズ

出演:ベン・フォスター、クリス・オダウド、ギョーム・カネ、
   ジェシー・プレモンス、リー・ペイス、ドゥニ・メノーシュ、
   ダスティン・ホフマン、エドワード・ホッグ、エレイン・キャシディ

評価:★★




 自転車のプロロードレース選手、ランス・アームストロングの映画企画が始まったのは、いつのことだったか。25歳のときに精巣腫瘍に侵され脳にまで転移しながら、そこから見事復活。1999年から2005年までツール・ド・フランスで7連覇を達成した彼は、紛れもなくヒーローだった。ハリウッドは運と実力に愛され、類稀なる選手人生を歩んだ彼を欲した。ところが…。

 プロジェクトはもちろん軌道修正を余儀なくされる。アームストロングの長年に渡る悪質なドーピング違反が明らかになったためだ。英雄を讃えた映画を作りたかった製作会社は頭を抱えたかもしれない。けれど、スティーヴン・フリアーズはむしろ、だからこそアームストロングに興味を持ったのではないか。フリアーズは『疑惑のチャンピオン』で、アームストロングの、自転車界の、スポーツ界の闇に狙いを定める。

 フリアーズはアームストロングに言い訳を許さない。アームストロングが全くの「白」である場面は極僅か。彼はアッという間にドーピングに手を染める。7連覇は薬物の力だけによるものではなかったかもしれないものの、アームストロングが血の滲む努力に身を捧げる場面は皆無。それどころかドーピングに手を出してしまう弱さを、人間味として見せる場面すら拒否する。

 これは賭けだ。まるでドキュメンタリーを思わせるタッチを選び、事実だけを淡々と綴る。共感できる人物は誰もいない。アームストロングに疑いを抱く記者も、話を展開させる駒として存在する。それならばそれこそドキュメンタリーとして見せた方が良いのではないか。人の心の闇こそ観たい者には物足りなく映る。

 ただし、この手法を選んだことで、アームストロングがやってのけた大胆不敵なドーピングを切り取る場面は迫力がある。スポーツ医師、弁護士、監督、チームメイト…仲間を増やしていく過程は犯罪映画のノリが感じられるし、ドーピング検査直前に血液の入れ替えを行う場面は異様としか言いようがない。

 それに主演を務めるベン・フォスターの演技は力が入っている。好感度の低い寄り目を大いに活かし、公の場では善人を演じ続ける男の狂気を手際良く見せる。引退後レースに復帰した後、優勝を逃して虚ろな目を見せる件は、ほとんど唯一アームストロングが人間味を見せる場面だ。こういうのを見せられると、ストレートな栄光と転落の物語として見たかったと思ってしまうのだ。





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