10 クローバーフィールド・レーン

10 クローバーフィールド・レーン “10 Cloverfield Lane”

監督:J・J・エイブラムス

出演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジョン・グッドマン、
   ジョン・ギャラガー・ジュニア、

声の出演:ブラッドリー・クーパー

評価:★★★




 まるで人気のない山中を飛ばしていたとき、ヒロインは突然車ごと道のない茂みの中へと放り出される。何かが車にぶつかったためだ。そして失神。気がつくと彼女は窓も家具もない殺風景な部屋に寝かされている。腕は点滴の針、足は鎖で繋がれて…。『10 クローバーフィールド・レーン』はまるで「ソウ」(04年)を思わせるシチュエーションスリラー風に幕を開ける。

 ところがこの映画、どこに向かってるのかちっとも読めない。ヒロインを監禁する初老のデブと対峙するのか。地上で起こっているらしい怪異に立ち向かうのか。特異な状況下で出会った者たち(もうひとり青年が出てくる)が疑似家族的関係を築くのか。普通なら焦点が合わないと苛立ちを誘いそうなものだけれど、ここではその「迷走」がむしろ魅力的に映る。B級映画の特権だ。

 密室空間が空気を震わせる。外に逃げていくことのない空気が、柔らかくも硬くも化ける。部屋毎の装飾に見合った表情で、僅か三人の人間を翻弄する。逃げ場がないという圧迫感が、冷静と狂気の間を行き来し、知らず知らずの内に三人を袋小路へと追い込む。ここにいれば安全…なはずなのに。

 メアリー・エリザベス・ウィンステッドはこういうB級が本当に良く似合う。彼女を良く分かっている作り手は、地下室で目覚めるとき、タンクトップと下着だけにする。これで点滴と鎖なのだから、早々とB級宣言したようなものだ。目に見えるものを簡単には信じず、いざとなれば決死の戦いを挑む。でも雰囲気はチープ。好もしい個性だ。

 けれどやはり、サスペンスを盛り上げるのはジョン・グッドマンだ。いかがわしさ全開で登場しながら、時折もしかして良い人かも…と油断させたところでまた爆発…。人間がいちばん怖いという定番説を高らかに叫ぶ役柄。この巨体は優しくもなれば、恐ろしくもなる。何気ない所作が想像をかき立てる。だって寛ぎながらひとりで観ている映画、モリー・リングウォルド作品だぜ。

 ヒロインが遂に地上へと飛び出すところは、その転調具合にギョッとしながら大笑い。暗過ぎて「アレ」がはっきり見えないのはどうかと思うものの、最後まで誇りを持ってB級を貫くのは気持ちが良い。最後にヒロインが向かう先に喝采を送る。そう来なくっちゃ。





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