二ツ星の料理人

二ツ星の料理人 “Burnt”

監督:ジョン・ウェルズ

出演:ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー、オマール・シー、
   ダニエル・ブリュール、マシュー・リース、ユマ・サーマン、
   アリシア・ヴィキャンデル、リリー・ジェームズ、エマ・トンプソン、
   リッカルド・スカマルチョ、サム・キーリ―

評価:★★




 主人公シェフはミシュランで三ツ星を獲得することを目指す。星なんかに踊らされる人々は子どもっぽく滑稽に愚かに映るものだ。星にこだわり続ける彼についていけるだろうかと不安が過ったところで出てくるある会話によると、「一ツ星はルーク・スカイウォーカーのようなもの。二ツ星はアレック・ギネス(つまりオビ=ワン・ケノービ)。三ツ星になるとヨーダだ」という。愉快な例えに、その後のユーモア炸裂を期待する。

 『二ツ星の料理人』にはしかし、これ以上の笑いは出てこない。目指されたのはおそらく、気難しいシェフが周りに迷惑をかけながらも精神的に成長していく様を「軽やかに」「楽しく」「笑いたっぷりに」描くことだろう。ところが、画面がちっとも活気づかない。むしろ湿気た気分を誘う。美味そうな料理も次々出てくるのに何故。理由は明らかだ。

 シェフがどうしても魅力的に見えないからだ。パリのレストランで問題を起こしてどこかに消えていた男が、三年後、今度はロンドンで頂点を目指す。三年という年月は彼を生まれ変わらせるのに十分な時間ではなかったらしく、新レストランでも問題行動を連発する。問題行動にも色々種類があるものの、彼の場合は、人を不快にするもので占められる。

 上手くいかないと食器に当たる。他人には常に偉そうな態度。自分の非を認めることなど言語道断。何より嫌なのは、不快言動の際、漏れなく怒鳴り声がついてくることだ。全く、本当に、こんなヤツが近くにいたら、一流の食材が最高の腕により調理された極上の飯も不味くなるというものだ。主人公を演じるブラッドリー・クーパーからもう少し愛敬を引き出せないものだろうか。

 けれど、彼の周辺人物は皆、甘い。いつの間にか彼に惹かれているから驚く。シエナ・ミラー演じる第二シェフなど、いつのまにやら彼に恋をしているから、これはもう驚きを通り越して呆れるしかない。主人公の魅力的なところ、シェフとしての腕を別にして、他にあっただろうか。都合良くフィールグッドムービーの型に入れるには無理がある。

 主人公の三ツ星獲得への道の最後に立ちはだかる難関はある人物の裏切りだ。これが何とも後味の悪いもので、これこそ映画を象徴しているのではないか。借金取りによる肉体的暴力も困りものだけれど、精神的暴力がもたらすもたつきがより厳しい。バランスを取るかのように、他の人物が意外な表情を見せたりさらなる思いやりを見せたりもするものの、ほとんど説得力がない。ご都合主義の中で人の感情が乱暴に処理され続ける。





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