エクス・マキナ

エクス・マキナ “Ex Machina”

監督:アレックス・ガーランド

出演:ドーナル・グリーソン、オスカー・アイザック、
   アリシア・ヴィキャンデル、ソノヤ・ミズノ

評価:★★★




 人工知能を取り上げた映画は、能力に感嘆した後、それが暴走していく様を描く展開になることが多く、そういう意味で『エクス・マキナ』も同じ系譜に入れて良いのだろう。ただ、それでも既視感が鑑賞を妨げるような事態は避けられる。作り手の美意識が、見事ヴィジュアルに焼きつけられているからだ。

 まず、人工知能の開発・実験が行われる場所に見入る。人里離れた山奥、ヘリコプターでしか行けないその場所は、日本ではないのに「和」を感じさせる。建物の入り口など、日本の田舎の掘っ立て小屋のようではないか。一度屋内に入れば無機質な、つまりはこのジャンルではお馴染みの光景が広がるというのに。

 華美な装飾を嫌う演出は、登場人物を最低限に抑え込む。実験を支配するオスカー・アイザック。彼に選ばれるドーナル・グリーソン。そして人工知能のアリシア・ヴィキャンデル。アイザックの秘書役で、何と日本女が出てくるものの、喋らない上、出演時間は多くない(ただし、重要な意味と役割は与えられる)。作り手はアイザックとグリーソン、グリーソンとヴィキャンデルというほとんどこの二パターンの会話で物語を転がす。もちろんグリーソンの視線で世界を見る。このミニマムな態度が情報を制限し、しかしサスペンス性を高める効果を発揮する。

 踏み込まれるのは人間の過信、人と人工知能が築く関係、人工知能のジェンダー問題、忠誠と信頼、猜疑心と傲慢…等。頻繁に見聞きするテーマが過不足なく突き刺さる。これらを描く上でもう少し笑い所は欲しいし(無意味にマッチョなアイザックとその奇怪なダンスぐらい?)、誰が誰を出し抜くのかというゲーム的側面にはケレンを投入しても良かった。ただし、魅せ方の効率性という点には全く問題なし。

 しかし、何と言っても、人工知能エヴァ役のヴィキャンデルが目に残る。所謂ロボットにヴィキャンデルの表情が貼りついた状態で、その他はほとんどスケルトン、髪はない(もんちっちウィッグあり)。おそらく普通にヴィキャンデルを撮影した後、視覚効果で大半を創り上げたのだろう。奇抜で不可思議な美しさが、綺麗でもどこか落ち着かない背景とベストマッチする。

 実は最初、せっかくヴィキャンデルが演じているのに、ここまで加工してしまうのは勿体ないのではないか、肉体の魅力が殺されてしまうのではないかと思ったのだ。実際、中盤のヴィキャンデルはgoodではあってもgreatではないと少々落胆する。だがしかし、これは終幕に向けての「タメ」であり、遂に狂気の世界へと突入してからは、なるほどヴィキャンデルの生地の良さ、物憂げな眼差し、それでいて意志的な物腰が大いに生きる。全てを持っていく。

 まあ、予想できる結末には違いない。もう一捻り、二捻り欲しい気もする。ただ、奇妙な爽快感が漂うのは、シンプルを貫いたこの作りだからこそかもしれない。人工知能の行く先が気になる。





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