幸せになるための5秒間

幸せになるための5秒間 “A Long Way Down”

監督:パルカル・ショメイユ

評価:ピアース・ブロスナン、トニ・コレット、アーロン・ポール、
   イモジェン・プーツ、サム・ニール、ロザムンド・パイク

評価:★★★




 「素晴らしき哉、人生!」(46年)のジェームズ・スチュワートはクリスマスの晩、橋の欄干から身投げしようとしたそのとき、天使に出会う。『幸せになるための5秒間』の四人の男女は大晦日の晩、高層ビルから身投げしようとして初めて顔を合わせる。原作はニック・ホーンビィ。おそらく「素晴らしき哉、人生!」を意識したところがあったのではないか。

 集まるのは年齢も性別も環境も全く異なる男女だ。それぞれの悩みが順を追って紹介される。傍から見れば乗り越えられそうなことでも当人にとっては深刻な問題。障害を抱えた息子の存在。姉の失踪をきっかけに信じられなくなった家族の愛。スキャンダルが原因で堕ちるところまで堕ちた人生。色々紹介されるものの、さほど絶望感を感じないのは本人ではないがゆえか。ただ、脳に癌を抱えた青年の告白はなかなか胸に来る。

 実は癌というのは出任せで、実は本人も何が原因で死にたいのかよく分かっていない。うつ病という言葉を使わずに、青年の苦しみが表現される。生きていくことに疲れてしまう者の掴み所のない不安感に感じるものがある。

 四人が「自分はひとりじゃない」という安易な結論に達し、自殺を回避する展開になることを危惧する。あまりに安易に使われ過ぎたがゆえ、軽薄さすら感じさせることがある言葉だ。それが避けられる。代わりに、それぞれが孤独な存在であることを明白にし、かつそれが普通であることを悟らせる構成に誠実さを感じる。自分は結局自分でしかない。自分からは逃れられない。でも、毎日何かは動いている。その変化を愛でるのだ。

 マスコミを巻き込んだ流れは安っぽく、リレー式に四人の胸の内が語られる構成もあまり上手いとは思えないものの、会話はホーンビィの原作が活かされているのか、愉快なものがある。初めに飛び降り自殺を試みようとしてなかなかできないピアース・ブロスナンの背後に、次の自殺志願者であるトニ・コレットが現れる。コレットは「(自分がいると)気が散るわよね」。ブロスナンが順番を譲ろうとする。コレットは返す。「私はひとりで死にたいのよ」。

 ブロスナン、コレット、イモジェン・プーツ、そしてアーロン・ポールはいずれも役柄に合っている。中でもプーツは、無垢なハートを持った女役にいよいよ説得力が出てきた感。派手な顔立ち、目化粧を中心にケバさすれすれのメイク、男遊びも盛んに見える。けれど、人一倍傷つきやすい繊細さは隠せない。意外にファムファタールを演じるとハマるのではないか。





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