シークレット・アイズ

シークレット・アイズ “Secret in Their Eyes”

監督:ビリー・レイ

出演:キウェテル・イジョフォー、ニコール・キッドマン、
   ジュリア・ロバーツ、ディーン・ノリス、アルフレッド・モリーナ、
   ジョー・コール、マイケル・ケリー

評価:★★




 ビリー・レイは決して下手な監督ではない。集められたキャストは一流どころばかり。それでも、あぁ、良くできた映画のリメイクはどうしても上手く行かない。どうせなら面白くなりそうな可能性を秘めながら失敗した作品の改良に挑めば良いのに。

 『シークレット・アイズ』はアルゼンチン映画(09年)のリメイクだ。舞台はブエノスアイレスからロサンゼルスへ。アルゼンチンの社会情勢は9.11後のアメリカのそれへと化ける。そして俳優はハリウッドを代表するトップスターたち。リメイクならではのオリジナル性をねじ込み、捻りも投入。しかし、出来上がったのはB級スリラーだ。

 いや、別にB級でも面白ければ構わない。辛気臭いだけなのを真面目だと勘違いし、オリジナルの命だった妄執や情念が記号化され、最後に湧き上がるはずの人間の業の深さが脱力感に包まれるのが拙いのだ。基本、ストーリーはさほど変わっていないのに、何が違うのか。

 多分いちばん大きいのは風土と事件の相性ではないか。じっとりねっとり、時に官能的に、素肌にまとわりつくようなアルゼンチン独特の気配が、時代と人間の深い闇に密着することで生じた、身体の芯にまで迫る恐怖やドラマが、LAのカラッとした空気の中では生まれない。土地というのも、実に大切な映画構成要素だと分かる。レイの演出する夜が、マイケル・マンが作り出すそれのように艶があるのであれば、まだ結果は違ったかもしれない。

 語りもじれったい。13年前と今を行き来する作法が機能しない。どちらを描いているのか、戸惑うこともある。もちろんちょっとセリフを追えば(或いは、微妙な外見変化を追えば)はっきり分かるものの、けれどこれはつまり、13年という重みを感じられないということでもある。この物語において、時間は極めて大きな意味を持つ。

 それならばスターを楽しみたい。ところがどっこい、オリジナルに負けない作品にしようという気負いがマイナスに働いたか、三大スターはいずれも精彩を欠く。ジュリア・ロバーツはすっぴんで通すことを女優魂だと勘違いして、「ジキル&ハイド」(96年)の頃のような間違った地味さを追求。ニコール・キッドマンは表情が動かない以上に、もこもこした顔つきになってきたのが気にかかる。キウェテル・イジョフォーは良い俳優だけれど、二大女優を相手にするにはやや迫力に乏しい。せめてロバーツとキッドマンの競演ぐらいは派手に堪能したいのに…。ハリウッド特有のバカリメイクにしてくれた方が、案外マシだったのではないか。





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