ロビン・フッド

ロビン・フッド “Robin Hood”

監督:リドリー・スコット

出演:ラッセル・クロウ、ケイト・ブランシェット、マーク・ストロング、
   ウィリアム・ハート、マーク・アディ、オスカー・アイザック、
   ダニー・ヒューストン、アイリーン・アトキンス、ケヴィン・デュランド、
   スコット・グライムス、アラン・ドイル、マックス・フォン・シドー、
   レア・セドゥー、マシュー・マクファディン、ダグラス・ホッジ

評価:★★★




 ロビン・フッドを取り上げた物語は枚挙に遑がない。12世紀英国に現れたヒーローは、よほど人の心を掴んで離さないキャラクターらしい。ただここしばらくの間、スクリーンで彼を目撃する機会は全然なかった。ケヴィン・レイノルズ監督の「ロビン・フッド」(91年)が最後だろうか。ひょっとするとケヴィン・コスナーが主演したロビン・フッドの間の抜けた感じが影響したのかもしれない。

 リドリー・スコット監督版『ロビン・フッド』はまず、主人公であるロビン・ロングストライドがマヌケに見えないのにホッとする。コスナーが持っていた軽薄さなど、ラッセル・クロウは纏っていないのだ。クロウが醸し出す凄みのある野性は、軟派な匂いとは一切無縁。低い声を深く響かせながら、軽快に痛快に圧政に苦しむ民衆の海に溶け込んでいく。弓や剣を自在に操り、身体を柔軟に動かすのだ。ジャガイモみたいな顔なのに、クロウときたら、ホントにカッコイイ。ただ、もうちょっと軽さがあっても良かった気もする。クロウは最初からカッコ良過ぎる嫌いがある。

 ロビン・フッドと言ったら、基本は義賊である。誰にでも優しく女子どもに好かれる一面的なヒーローなんかではなく、影を背負った捻りの効いた男だ。ここで描かれるロビン・フッドも、心より王に忠誠を誓っているわけではないし、身分を偽ることもある。…にも関わらず、クロウが初っ端からカッコイイ。十字軍の遠征場面で大胆不敵なアクションを見せるところから始まり、敵対していた仲間との間に絆を生じさせ、王に認められ、重要任務を負かされ…と最初からヒーロー的な側面が、前面に見える。ロビン・フッドの振る舞いの底にあるはずのやんちゃさがあまり感じられないのが不満。映画はロビン・ロングストライドがロビン・フッドになるまでが描かれていて、つまりそれは主人公が民衆の味方となり権力に立ち向かう存在になるまでの成長の物語ということだ。それが最初からカッコ良いのは、ちょいと拙いのではないか。子羊が獅子となるまで何度も立ち上がる。それを魅せる演出が弱い。

 焦点がもうひとつ絞り切れていないように思われるのは、ロビン・フッド以外の人物の処理が大味だからだ。ロビン・フッドに好意を抱くマリアン。新しくイングランドのトップに立つジョン王(感動的なまでにバカ)。イングランドを内部分裂させた隙に侵略を試みようとするフランス軍。それぞれの思惑が丁寧に描かれるものの、その処理に手間取って間延びした印象。尤も、それぞれのエピソードに力のスター俳優が出てくるため、さほどそれが目立ってはいない。ケイト・ブランシェット、ウィリアム・ハート、マーク・ストロングらが引き締めにかかる。

 リドリー・スコットはSFと同じくらい史劇との相性が良いようだ。骨の太い大スケールの物語を、泰然自若の佇まいで指揮を執る。身体と身体がぶつかることで生じるサスペンスが素晴らしい。昨今のアクションは銃弾の数にモノを言わせた退屈なそれが主流になっているけれど、スコットが繰り出すのは痛みが常に付きまとう重量感のあるものなのだ。

 撮影も堂々たるもの。戦闘場面の臨場感(特にクライマックスの海辺の場面の魅せ方が新しい)はもちろん、何気ない場面でも(3Dでもないのに)画面に奥行きが感じられて、実に気持ちが良い。作り込まれた美術や衣装も、これならばスクリーンに映えるというものだ。

 傑作とは言えない。佳作と言うのも違う気がする。ただ、映画ならではの醍醐味が溢れたスペクタルドラマ。CGに頼った安易なアクション映画ばかりが目立つゆえ、妙に胸が躍る。





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