ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出

ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出 “A Royal Night Out”

監督:ジュリアン・ジャロルド

出演:サラ・ガドン、ジャック・レイナー、ベル・パウリー、
   ルパート・エヴェレット、エミリー・ワトソン、ロジャー・アラム

評価:★★★




 一国の王女が宮殿を抜け出して一夜の冒険を繰り広げる(ほのかな恋のオプション付き)。…と来れば、誰もが「ローマの休日」(53年)を思い出すわけだけれど、でもだからと言ってオードリー・ヘップバーンの代わりになる女優など見つかるわけがない。ヘップバーンの場合、出てくるだけでファンタジーの匂いが濃くなり、それがそのまま映画の個性になっていた。そのことを念頭に置き、新たに見つけた主演女優と共に別の方向を目指せば、バッタモンには見えないだろう。

 そんなわけで「ローマの休日」の変奏のような『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』は、サラ・ガドンの魅力をたっぷり楽しめる砂糖菓子のような映画だ。現英国女王の若き日、それも1945年5月8日、戦勝記念日に限定され、夢物語に現実の翳りが隙あらばと迷い込む。この翳りが物語の足取りを重く…させない。

 ガドン演じるプリンセスは生まれたときから女王になることを運命づけられ、豊かな生活を送ることはできても窮屈な人生を生きてきた。だから、せめて一日くらい外の空気を吸ってみたい。その無邪気な思いから始まる冒険に、戦争を通じて現実が絡みつく。その匙加減の調節に技が光る。

 戦争が終わり浮かれるロンドンの街。しかし、ちょっと喧騒から離れれば、そこには避けては通れない下の世界の今が広がる。プリンセスはそれに少なからずショックを受け、けれどだからこそ自分の立場を再確認し、未来への覚悟を新たにする。その凛とした姿勢がプリンセスの、そしてガドンの気配に美しく溶けていく。彼女は輝き出す。

 ガドンの小柄な身体と面長の顔立ちが、ロンドンの人込みで揉まれる度に思う。気品が気持ち良い。安酒場だとか娼館だとか物騒な路地裏だとかに入り込んでも、高貴な(しかし堅苦しくはない)清潔感を保つ。ジャック・レイナーといちゃこいても(言い合いもいちゃこきと言う)性的な匂いを感じさせない。素朴を極めるレイナーとの相性も良い。セリフ回しも小気味好い。

 マーガレット王女は可笑しく(ベル・パウリーが見事なコメディエンヌぶり。暴走しても憎めないチャーム!)、「英国王のスピーチ」(10年)に詳しい国王夫妻の醸し出すユーモアも愉快。夜のロンドンの表情が変化に乏しいのは惜しいものの、ジャズの軽快な音色は王女の冒険を軽やかに後押しする。たまたま出かけた一夜、そこでいの一番に出会うのが心優しき青年で、しかもハンサムで、さすが王女はラッキー。ここにはその幸運を素直に受け入れられる心根の優しさと、忘れてはならない現実を見つめる誠実さある。うん、やっぱりこれは、上等の砂糖菓子だ。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ