サウスポー

サウスポー “Southpaw”

監督:アントワン・フークワ

出演:ジェイク・ギレンホール、レイチェル・マクアダムス、
   フォレスト・ウィテカー、ウーナ・ローレンス、ナオミ・ハリス、
   カーティス・ジャクソン、ヴィクター・オルティス、ボー・ナップ、
   ミゲル・ゴメス、リタ・オラ、スカイラン・ブルックス、
   クレア・フォーリー、ロイ・ジョーンズ・ジュニア

評価:★★★




 アントワン・フークワ×ジェイク・ギレンホール×ボクシング。この組み合わせだけで漢(オトコ)臭むんむんの『サウスポー』。目指したのは「チャンプ」(79年)を21世紀に蘇らせることだろうか。一度は絶望のどん底へ堕ちたライトヘヴィー級王者が、再び栄光の頂点を目指す。

 ギレンホールはげっそり痩せこけた「ナイトクローラー」(14年)から一転、ボクサー体型に鍛え上げて登場する。今現在作品毎に外見をがらりと変身させる(時に過剰に見えさえする)ハリウッドのツートップと言ったら、クリスチャン・ベールとギレンホールだ。マシュー・マコノヒーがふたりを追いかける。ギレンホール演じるビリー・ホープは、実は最初から危うさを感じさせる。打たれることで本領を発揮するその試合スタイルとリンクするように、普段の生活風景に狂気を溢れさせる。

 もしかしてギレンホールは「ナイトクローラー」を引きずったまま、撮影に入ったのだろうか。そう思い込むのは早計だ。ある事件があった後、ギレンホールは狂気に怒りと喪失を絡ませることで、怪物ではない、我々と同じ空気を吸う「人間」を創り出す。狂気は弱さに化け、いつしかそれが本物の強さへと変貌を遂げる。ギレンホールの肉体の咆哮、これが物語を引っ張る。

 ただし、試合場面はもっと工夫が欲しい。ギレンホールの肉体の迫力は存分に楽しめても(これぞ漢臭)、カメラワークや編集には平坦な印象を受ける(漢臭はほとんど感じられない。どうしたフークワ)。それに試合中はドラマが動かない。優れたボクシングストーリーは、試合中にもどんどんドラマがうねるものだ。勝ち負け以外の物が見えなくなるのは何故。

 それはもしかしたら、試合(とりわけラストの大勝負)に至るまでの展開が食い足りないからかもしれない。誰でも打ちのめされるだろう絶望やそこから這い上がる精神力を、記号化してしまうメロドラマ性が押し寄せるばかり。そもそも対戦相手に敵ながら天晴れと思わせるものが見当たらないのはどうか。

 フークワはひょっとして泣かせを意識し過ぎたのではないか。父(ギレンホール)と娘(ウーナ・ローレンス好演。母役のレイチェル・マクアダムスと額が似ているのが可笑しい)による掛け合いに涙を誘われ、けれどそれがメロドラマ方向に堕ちていくきっかけを作る。フォレスト・ウィテカー演じるトレーナーの物語も、メロドラマを補強することしかしない。ひょっとしたらボクシング映画を作ったつもりもないのではないかとすら思う。だとしたら勿体ない。ギレンホールの肉体にはもっと広く深い可能性が潜んでいることは明白なのだから。





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