ラスト・ボディガード

ラスト・ボディガード “Maryland”

監督:アリス・ウィンクール

出演:マティアス・スーナールツ、ダイアン・クルーガー、ポール・アミ、
   サイード・エルーギ=ドゥモンサン、ベルシー・ケンプ

評価:★★★




 男は無口だ。女は愛想がない。男は、夫がいない間、女(とその子ども)の警護を任される。果たして、起こる不可解な出来事。いつしかふたりの間に信頼感が芽生えていく。男は女を守れるだろうか。…なんて安っぽく書くと、ケヴィン・コスナーがホイットニー・ヒューストンと恋に落ちた「ボディガード」(92年)を連想してしまうものの、これはおフランス映画。甘ったるい方向に流されてたまるかと踏ん張る。

 ポイントはやはり男の人物像だろう。アフガニスタンで軍人として活動していたものの、不安や幻覚が原因で休暇を命じられたばかりという設定。日常の隙間に戦場のトラウマがひょいっと顔を出す。彼自身も危うい存在であるという事実が不安を煽る。マティアス・スーナールツは男の不安定さを広くて丸い背中に封じ込める。

 男と女の関係に変化が表れる様はハリウッド映画のようにあからさまではない。本当に変化が出ているのか否か、判断し辛い演出が続く。子どもが出てきても、とりたてて男と心を通わせることもなければ、女が男の胸に顔を埋めることもない。このあたりは脳天気にはならないというおフランスの意地が感じられる。つまらない意地と言い換えることも可能だ。

 実際の警護の仕事もそうなのだろう。実に地味な作業が続く。肉眼や防犯カメラを使ってじっと周囲に目を凝らすのが大半で、いざ事件が起こっても派手な銃撃戦が起こることも、アクロバティックな技が繰り出されることもない。目指されるのはリアリティ。痛みが優先され、したがってナイフや拳が物を言い、流れる血には生臭さがある。

 多少のユーモアぐらい許せば良いのに。別に男はストイックな存在であるわけではなく、女をいやらしい目で見ることだってあるのだ。カメラ映像で彼女を追ったり、太腿から目を逸らせなかったり、他の男に嫉妬を覚えもする。別に恋に落ちなくても良いから、肩の力を少しぐらい緩めても文句は出ないだろう。せっかく美しいダイアン・クルーガーを女に配役しているのだし…。

 でもまあ、作り手が男の内面の崩壊に狙いを定めているのだから仕方ないか。ラスト数シーンなど、何とともまあ、やるせない気分を誘う。悪漢を叩きのめした男を女が見つめる目。或いは、背後から現れて男を包み込む女の「亡霊」の気配。袋小路に迷い込んだ男の静かなる絶叫が聞こえてくるようではないか。もちろんここに愛の成就など見当たらない。





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