チリ33人 希望の軌跡

チリ33人 希望の軌跡 “The 33”

監督:パトリシア・リゲン

出演:アントニオ・バンデラス、ロドリゴ・サントロ、ジュリエット・ビノシュ、
   ジェームズ・ブローリン、ルー・ダイアモンド・フィリップス、
   マリオ・カサス、アドリアナ・バラッザ、ケイト・デル・カスティーリョ、
   コート・デ・パブロ、ボブ・ガントン、ガブリエル・バーン

評価:★★




 その鉱山を掘るのにかかった年数は実に100年。閉じ込められた作業員は33人。残された食料は僅か3日。地上と通じるまでに17日。全員の救出が完了したのは69日目。気になる数字はたくさん出てくるけれど、まず、冒頭に紹介される、全世界で毎年12,000人が落盤事故で死んでいるという事実が衝撃的だ。記憶に新しいチリのサンホセ鉱山で起きた落盤事故、閉じ込められた者たちが誰一人欠けることなく助けられたのは、本当に奇跡に近い。

 当然のように映画化が囁かれる題材。果たして5年後、遂に出来上がったのが『チリ33人 希望の軌跡』だ。ある程度ニュース番組で知っていたつもりの出来事でも、やはり知った気になっていただけのことは多い。自分の知り得ていた情報を映像と共に補強していく、そんな作業に入ってしまうのは、映画としてはさほど技がキマらないからか。

 作り手はディザスター映画にするほどには軽くなく、リアリティを追求するほどに生真面目でもない。目指すのはそう、ハリウッドカラーに染めたフィールグッド・ムービーだ。男たちが絶望的状況下をいかにして乗り切ったのか。まるで自分こそ最大の理解者であるかのように語り掛ける。

 どんなときでも諦めない心。リーダーに求められるものとは。仲間との強い絆。離れていてもなお支えになる家族の存在。地球規模で報道される事態と政府の思惑。責任を問われるべき会社の態度。個人に目を向ければ、姉との確執や国籍の違いから来る疎外感まで絡められる。物語はいずれも、それらを優しく撫でる。

 優しく…と言うと聞こえが良いものの、邪心を抱く人間が出てこない人間賛歌は、程々にしないと腐臭を漂うわせることには敏感になるべきだ。別にシェイクスピア劇を展開せよなんて言わない。けれど、実話性に気を取られて、人間の醜い部分が排除された世界は、再現VTRの世界に突入してしまうものだ。仲間内のいざこざやプロモーションに走る政府の動きは、別に醜悪なんてものではない。

 報道の中で目立っていた面々らのドラマはもっと掘り下げるか、或いはひとりに絞って骨格の太いドラマを描いても良かった。愉快だったのは、当時も話題を呼んだ二股男ジョニさんを愛する妻と愛人のバトルだ。ラテンの陽気なノリに包まれて、厳しい状況下の良いアクセントになっていた。それから救出現場が次第に、ちょっとした祭りの趣を湛えていくのも、いかにもラテン的で微笑ましい。こういうノリは脚本家が何もないところから絞り出せる風景ではない気がする。





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