人生は小説よりも奇なり

人生は小説よりも奇なり “Love Is Strange”

監督:アイラ・サックス
絵の具 アパート マンション 不動産
出演:ジョン・リスゴー、アルフレッド・モリーナ、マリサ・トメイ、
   ダーレン・バロウズ、チャーリー・ターハン、シャイアン・ジャクソン、
   マニー・ぺレス、クリスティナ・カーク、
   エリック・タバック、クリスチャン・コールソン
キーボード Windows10 メモリ ハードディスク
評価:★★★★




 どこかの国と比べたら随分開けていると言っても、ニューヨークがゲイにどこまでも寛容というわけではない。同性結婚が合法化され、39年間の同棲の後、遂に結婚式を挙げたカップル(♂)が、それが原因でひとりが仕事をクビになり、いきなりアパートを追われることになる。

 …と言っても『人生は小説よりも奇なり』は別に社会派を気取った映画ではない。ただ一緒にいること、ただ愛する人が傍にいることの尊さを、子どもが戯れにカンヴァスに絵の具を落とすように、軽やかにさり気なく慎ましく、街角の色へと変えていく。

 そう、ここには説教などという面倒臭いものがない。人が人と暮らすということの難しさ・煩わしさを水入れに滲ませながら、それでいて嫌悪を示さない。それが暮らすということだということを知っているからだ。当たり前のこととして見せる。ゆえにここには、所謂「衝突」の場面はほとんど見当たらない。

 アイラ・サックスは省略の技を駆使する。例えば、ひとりが仕事をクビになっても、それをパートナーに報告する場面はない。代わりに、次の瞬間にはアパート探し(居候先探し)が始まっている。…といった具合に。

 …かと思えば、一見何でもないアクションに潜む余白をたっぷり取る。ひとりが夜中、別のところに居候するパートナーを前触れなく訪ねる場面。或いは、少年が階段で動けなくなってしまう場面。人の感情は、いつどこで溢れるものか分からない。そして、そのとき溢れ出た思いがどこに向かうのかも…。

 ジョン・リスゴーとアルフレッド・モリーナ、ジイサンと言って良い年齢のふたりが醸し出す空気よ。ジイサン同士の愛なんて見たくない…なんて野次を痛快に抑え込むだろう、その慈しみに包まれた匂い。人は性を意識して愛し合うわけではないことが、ラヴシーンでないところから滲み出る。

 もうひとつ、ふたりの直面する困難に、老いにまつわる寂しさが感じられることに気を留めておきたい。人は生まれた瞬間から死に向かう。いよいよそれを意識せずにはいられなくなったときに体感する人生の儚さ、それがジイサンふたりの愛に甘味と苦味を添えている。その傍らで産声を上げた生まれたての愛を眩しく見つめながら。





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