ズートピア

ズートピア “Zootopia”

監督:バイロン・ハワード、リッチ・ムーア

声の出演:ジニファー・グッドウィン、ジェイソン・ベイトマン、
   イドリス・エルバ、ネイト・トレンス、J・K・シモンズ、ジェニー・スレイト、
   トム・“タイニー”・リスター・ジュニア、オクタヴィア・スペンサー、
   シャキーラ、アラン・テュディック、ボニー・ハント、クリステン・ベル

評価:★★★★




 アニメーションで動物の世界が舞台。『ズートピア』と呼ばれるその空間は草食動物も肉食動物も仲良しで、それぞれがその種の特長を活かした仕事に就いている。しかも「夢」に向かって前進する女の子がヒロインだ。思わず後ずさりしたくなる。けれど、ちょっと待て。そんな観る者の先入観をしたたかに逆手に取り、なおかつ堂々ディズニー印がキラキラ輝いているではないか。

 アニメーションにおいて最も重要な点、画の魅力が楽々クリアされる。バディになるウサギのジュディとキツネのニックだけでも大いに感心する。例えばその毛並みを見よ。ぬいぐるみ以上のふわふわ感。けれどそれは画一的ではない。それぞれの動物毎に異なり、ジュディとニックではその柔らかさの質が全く異なる。アップになったときの細やかさが、どんな場所から捉えたときでも再現されている。ジュディに至っては、耳の魅せ方も実にデリケートだ。

 彼らが住むズートピアの念入りな描き込みも愉快痛快。色が楽しく弾け、美しく整った街並みは未来的。動物の大きさは本来のそれがそのまま採用され、だからと言ってそれぞれの生活がごちゃごちゃと煩くなることはない。ジュディが田舎からズートピアに乗ってくる電車ひとつ見ても、動物毎に使用するドアが異なる。芸の細かさはほとんど一回だけの鑑賞では味わえ尽くせないだろう。

 ズートピアでは身体の大きな肉食動物が警官を務めるのが普通で、それゆえ新米警官ウサギのジュディは交通整理しかやらせて貰えない。彼女が夢を叶えるべく奮闘する様はなるほどディズニーだけれど、その過程で彼女が直面する障害の数々には、意外や大人でなければ感じ取れないだろう、人間社会にも通じる問題が横たわる。しかもこれが手を変え品を変え、どんどん表情を変えていくのだ。

 それを「偏見」だとか「差別」だとか、言葉にするのは簡単だけれど、この映画が優れているのは善良を絵に描いたようなジュディでさえも、それに囚われていることまで突っ込んでいる点だ。ニックの存在が効いてくる。喧嘩しながら距離を縮めていくという王道バディ映画のコンビネーションで魅せながら、その違いにもさり気なく敏感だ。その上で物語は観客の偏見までもを試そうとする。

 脚本が素晴らしい。ズートピアの作り込み。浮かび上がるシリアスなテーマ。しかも何気ないエピソードやそこにばら蒔かれた種が伏線として次々回収される気持ち良さ。ズートピアへの更なる可能性を感じずにはいられない。ジュディとニックならば完璧なアニマルワールドにまだ隠れているに違いない歪みを、エンターテイメント精神を忘れることなく暴き出してくれるだろう。





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