ロブスター

ロブスター “The Lobster”

監督:ヨルゴス・ランティモス

出演:コリン・ファレル、レイチェル・ワイズ、ジェシカ・バーデン、
   オリヴィア・コールマン、アシュレイ・ジェンセン、アリアーヌ・ラベド、
   アンゲリキ・パプーリァ、ジョン・C・ライリー、レア・セドゥー、
   マイケル・スマイリー、ベン・ウィショー

評価:★★




 この世界では独り身であることが許されない。単身になった途端、美しい湖畔にあるホテルに連れていかれ、そこで45日以内に相思相愛のパートナーを見つけなければ動物にされてしまう。何ともまあ奇天烈な設定だ。『ロブスター』は主人公が希望の動物を尋ねられた際に答える生物だ。たっぷり選択肢のある動物の中からロブスターですかい。なかなか面白いセンスじゃないの…と最初は思ふ。

 ハリウッド映画ならここで、この制度に不満を抱える者たちが体制を倒すべく立ち上がるところだけれど、監督はギリシャのヨルゴス・ランティモス、そんなことは許さない。この仕組みの中で生きるしかない人々の生態を観察することに専念する。ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべながら。

 ランティモスは愛を崇め奉らないスタンスを崩さない。それが物語にすっきりさせない味を添えている。与えられた時間は45日だけ。しかも限られた場所で、本物の愛に出会える確率はどれほどだろう。どうしてもこの制度に対しての疑問が頭から離れない。もちろんそれはランティモスの狙い通りだ。そうしてそれに大きく影響を受けたいくつかの愛の美醜を描いた後、物語は後半パートに突入する。

 主人公が森に逃げ込むのだ。ここには制度から逃れた人々が人目を忍んで暮らしている。主人公はそこで愛する人に出会う。あぁ、良かったねぇ…という展開にはもちろんならず、ランティモスはここでさらに愛の別の表情を突きつける。しかも秩序の崩壊や暴力の連鎖を恐れることなく、むしろ振りかざしながら。

 とりわけラストシークエンスは悪意たっぷりに語られる。観客に答えを委ねる形になっているものの、いやいやランティモスがどういうつもりでいるかは明白。愛が不条理なルールの中で呻き声を上げる様を念入りに描き込みながら、すんなり綺麗にまとめることはないだろう。ホテルと森を対比させ、映像で遊び、ムード歌謡で気分を出し、敢えて疑問を残して惑わせ、意図的に説明を排除してリズムを作り…といった巧みな演出は全て、多くの人が抱きがちな愛への信頼をどう揺るがせるかに賭けられる。

 ランティモスはそうして物語に振り回される登場人物と、その彼らにやきもきする観客を上から見下ろして笑っている。あぁ、また愛なんかに転がされている…とでも呟きながら。そう、全ては計算に固められた世界。それが透けるのが野暮だ。広がるのは意外なほど多角的な見方はできず、一方通行な世界。いくら巧くても、決定的にダ・サ・イ。





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