ボーダーライン

ボーダーライン “Sicario”

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

出演:エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、
   ヴィクター・ガーバー、ジョン・バーンサル、ダニエル・カルーヤ、
   ジェフリー・ドノヴァン、ラオール・トゥルヒージョ

評価:★★★




 咄嗟に昔のアニメーションでよく見かけた画を連想した。人間や動物に電流が流れると、その間だけ骨が見える、あの画だ。ドゥニ・ヴィルヌーヴは生物ではなく、麻薬戦争に電流を流す。電流が流れるのは一瞬かもしれないし、その後は瞬く間に元通りかもしれないと承知しつつ、それでもその骨格を露わにしようとする。

 舞台はアメリカとメキシコの国境だ。ドナルド・トランプがメキシコ国境に壁を作ると暴言を吐くずっと前から、周辺の腐敗は伝えられている。度々映画でも描かれてきた。もはや国を動かすほどの一大ビジネス。どこから手をつけて処理すれば良いか、本当のところ、誰にも分からない。ヴィルヌーヴはその深い闇に明かりを灯すのに物語を活用する。

 我々の目となるのはエミリー・ブラント扮するFBI捜査官だ。ほとんど説明を受けないままに秘密のミッションに参加する彼女は、その凄惨な日常風景に驚愕する。謎の協力者ベニチオ・デル・トロ、作戦を指揮するジョシュ・ブローリンに挟まれ、まともな呼吸はできないままに。

 その緊張が全く途切れない。銃を装備する場面だけが戦闘ではない。車やバスで移動するときも、バーで飲むときも、モーテルでセックスに興じるときも…。ヒロインが戦いの中で揉まれに揉まれ、次第に善悪の境界を曖昧にしていくところに恐ろしさと絶望がある。

 ヴィルヌーヴはこんなに技巧派だっただろうか。映画の技が妙に目立つ。情報量と快感が膨大な撮影(名手ロジャー・ディーキンス。屋外撮影の冴えを見よ)。脳天に突き刺さる音を畳み掛ける音響。交感神経を刺激するアドレナリンのようなスコア。情報の落とし方も最小限で効率的だ。それらが一体化しながら電流が流れる。流れる度に世界が軋む。

 ブラントが目撃者の役割しか果たさないのはあまりに大きな欠点だ。まるで意識的に動きを封じられているかようなストレスある活動範囲に限定される。その一方、デル・トロはヴィルヌーヴの寵愛を受ける。アメリカ側であるにも関わらず、登場場面から怪しくいかがわしく不穏な存在であり続け、要所要所で場を締め、最後には全て持っていくのだから。デル・トロには電流の流れに配慮が見られ、それゆえ陰影に富む。どうしたらデル・トロが暗く輝くか、常に意識されていることは間違いない。





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