砂上の法廷

砂上の法廷 “The Whole Truth”

監督:コートニー・ハント

出演:キアヌ・リーヴス、レニー・ゼルウィガー、ググ・バサ=ロー、
   ガブリエル・バッソ、ジム・ベルーシ

評価:★




 キアヌ・リーヴスが弁護士を演じるのは「ディアボロス 悪魔の扉」(97年)以来だろうか。共通しているのは、リーヴスが身体を絞り、すっきりフェイスでお目見えすることだ。作品によってはとても役者とは思えないだらしない身体で現れることもある(役作りには見えない)リーヴスだから、彼の外見を愛する者には嬉しいことだ。

 …なんて呑気に観ていられないのは、リーヴスがどう逆立ちしても弁護士に見えないという悲しい理由によるところももちろんある。良い意味でも悪い意味でも表情パターンの少ないリーヴスは、弁護士という知性が必要な役柄を演じると、かえってあんぽんたんに見える。専門用語を口にしてもまるで真実味がないし、法曹界に身を置く重みも全くない。

 けれどそれ以上に『砂上の法廷』が拙いのは、リーヴス弁護士が立ち向かう案件の底の浅さにある。暴力的な大富豪が殺される事件が発生。警官が駆けつけると、その場には暴力を受けていた妻と息子が佇んでいる。息子が犯人であることを示す証拠はたっぷり。でも誰かを庇っているようにも見える。さて、殺したのは誰だ?

 こうなると大抵真相は、良い子に見える息子が実はサイコな一面を持っていて父を殺したか、或いは暴力に耐えられなくなった妻の正当防衛か…ということになる。そこに至るまでの経緯を説得力を持って描くのだ。作り手はそれを嫌ったらしく、終幕に世間がどんでん返しと呼ぶものを仕掛ける。それがあまりにもチープなそれであることに気づかずに。リーヴスがいよいよおたんこなすにしか見えないという事実に気づかずに。

 何と監督はコートニー・ハントだ。「フローズン・リバー」(08年)でアメリカの闇を鋭く抉った人だ。あれから8年。散々待たされた挙句、こんな二時間ドラマにもならない話を飾り立てるとは…。いきなり裁判が始まり、その過程で事件を紹介することで上映時間をコンパクトにまとめたのは手柄だけれど、ホントそれ以外、妻に扮したレニー・ゼルウィガーの劇的な変貌ぐらいしか見所がないとは…。脚本を自分で書いていないのが原因なのか。

 ラストの数分はいよいよ種明かしがなされる。呆然とするのは登場人物だけではない。残されるのは特徴らしい特徴のない無個性弁護士リーヴスの哀れと、ベッドの下から覗く事件を解くヒントとなるあるアイテムのお粗末さだけだ。これってセックスを暗示するために床に散らばった下着を映すのと同じくらい、恥ずかしい見せ方ではないか。頼むよ、ひとつ。





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