ウソから始まる恋と仕事の成功術

ウソから始まる恋と仕事の成功術 “The Invention of Lying”

監督・出演:リッキー・ジャーヴェイス、マシュー・ロビンソン

出演:ジェニファー・ガーナー、ジョナ・ヒル、ルイス・C・K、
   ジェフリー・タンバー、フィオヌラ・フラナガン、ロブ・ロウ、
   ティナ・フェイ、ドナ・ソーベロ、ステファニー・マーチ、
   フィリップ・シーモア・ホフマン、エドワード・ノートン、
   ジェイソン・ベイトマン、クリストファー・ゲスト

評価:★★★




 ジム・キャリー主演の「ライアー ライアー」(97年)というアメリカ映画がある。嘘ばかりを並べて無罪を勝ち取る弁護士がある日突然、嘘をつけない身体になってしまう喜劇。『ウソから始まる恋と仕事の成功術』は、その逆転版のような映画。実際キャリー主演で作られても違和感ないだろう題材。誰も彼もが本当のことしか喋らない世界で、ただ一人嘘をつくことを覚えた脚本家が巻き起こす騒動が描かれる。

 序盤の笑いは「ライアー ライアー」と同じ類のそれだ。嘘という概念がない社会、つまりいつ何時も正直である人々の、身も蓋もない生活ぶりが笑い飛ばされていく。ここには情けだとか礼儀だとか遠慮だとかが全くない。隠し事ができないため、常に本音が飛び交う、そのバカバカしさ。かくしてデブでブタ鼻のリッキー・ジャーヴェイスは、恋する女性からそれを理由に愛の告白を断わられてしまうのだ。必然的に打たれ強くなるジャーヴェイスの哀しげな目が胸にチクリ。物語は表面的な笑いだけを追うのではない。思い切ったデフォルメの奥に、いかに普段我々が他人を意識して生きているか、人間関係がいかに難しいものか、という議題を敷いてる。

 嘘を覚えたジャーヴェイスがお調子こいて暴走し始める件は、ドラえもんの道具を手にしたのび太的発想。金絡み、女絡みの嘘で良い思いをしたジャーヴェイスはしかし、因果応報、かえって窮地に陥ることになる。死に際の母親に対する優しい嘘もあるのが、ちょっと良い気分。「嘘も方便」という言葉を思い出す。ただ、「空の人」を絡めた展開は、話が大きくなり過ぎて、映画全体の輪郭をぼやけさせてしまった感は拭えない。

 ジャーヴェイスは結局嘘だけでは、或いは情だけでは幸せになれないことを悟る。この結末は予想の範囲内で意外性のあるものではない。しかし、ジェニファー・ガーナー演じるヒロインの心情に揺さぶりをかけることで、想像力や創造力というものの尊さを感じさせるあたりに、工夫が見られる。事実だけにこだわる必要はない、と。ちょっと深読みが過ぎるか。

 監督も務めているジャーヴェイスは自分の持ち味を承知しているようだ。TVシリーズ「The Office」を思い出させるマイペースな佇まいに捻くれた個性があり、ベタな笑いをサラリと流せるのが強み。毒の振り撒き方に芸があるのも良い。

 さて、嘘のない世界では、映画は史実を描くドキュメンタリー的なものばかりになる。なんと味気ない!このあたりをもっと突っ込んでも面白くなったかもしれない。それと大胆な設定ゆえに、良くできたコントのような印象になってしまった点をもう少し改良できると、強く後に引く印象を残せただろう。





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