不屈の男 アンブロークン

不屈の男 アンブロークン “Unbroken”

監督:アンジェリーナ・ジョリー

出演:ジャック・オコンネル、ドーナル・グリーソン、MIYAVI、
   ギャレット・ヘドランド、フィン・ウィットロック、ジェイ・コートニー、
   ヴィンチェンツォ・アマート、ジョン・マガロ

評価:★★




 主人公ルイ・ザンペリーニは陸上選手だ。やんちゃだった子ども時代、兄が才能を見抜き、5,000メートル走の選手となる。ベルリン・オリンピックでも結果を残す。映画という芸術はとにかく「走る」ことと相性が良く、ザンペリーニがライヴァルたちを抜き去っていく場面は実に気持ち良い。けれど『不屈の男 アンブロークン』はスポーツ映画ではない。オリンピック出場後彼は、米兵として日本軍と戦うのだ。

 確かに映画にしたくなる経歴の持ち主だ。オリンピック選手が戦闘機のエンジン・トラブルで海上に落下、ゴムボートに揺られながら45日間の漂流生活を強いられる。やっと陸地に辿り着いたと思ったら、そこにいるのは日本兵だ。渡辺と名乗る伍長から執拗に甚振られる。ザンペリーニは耐える。兄の言葉「If you can take it, you can make it.」を思い出しながら。

 どれだけ過酷な状況下でも決して心を折ることのない精神力。それは一体どこから来るのだろうか。陸上に出合ったことが大きいのか。レース中に乗り越えてきたものが物を言うのか。それとも神の存在が効いたのか。物語はそれに無視を決め込む。

 そう、ザンペリーニは立派だ。子ども時代こそ困ったこところが目立つものの、青年になってからは弱さを見せることのないスーパーマンに変身する(念のため断ると、涙を流すのは弱さではない)。漂流生活では知恵を絞って脳みそ筋肉男じゃないことを証明、捕虜になってからは修行僧のように苦難に耐え続け眩しいったらない。映画は何かが「変化」を見せるとき、命を与えられる芸術でもある。ずっと立派なザンペリーニは、かえって感じるものが少ない人物だ。いや、ザンペリーニだけじゃないか。米兵たちは皆、好人物として存在する。

 となると際立つのは日本兵の、とりわけ渡辺伍長の残虐性だ。やたらザンペリーニに執着する渡辺の心象は仄めかし程度で済まされ、その陰湿さとそれに屈しないザンペリーニの対照性が意識される。権力に物を言わせた強さと強靭な心をベースにした強さ。本当に強いものは何か。分かりやすいにも程がある。なお、渡辺の出世により一度「離れ離れ」になった渡辺とザンペリーニが再会する件は、ギャグじゃないかと突っ込まずにはいられない。

 実のところ、ザンペリーニの人生は戦後の方が描き甲斐があるのではないかと思う。あまりにも壮絶な体験をした後、彼は再び日本の地に立つ。それも長野オリンピックの聖火ランナーとして。そこに至るまでの心の揺れ動きこそ、見たかった。赦しというものほど難しく厄介なことはない。ジャック・オコンネルも表現のし甲斐があるだろう。97歳まで生きたというのも強烈な事実だ。何しろ亡くなったのは2014年、つい先頃なのだ。





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