愛しのグランマ

愛しのグランマ “Grandma”

監督:ポール・ウェイツ

出演:リリー・トムリン、ジュリア・ガーナー、マルシア・ゲイ・ハーデン、
   ジュディ・グリア、ラヴァーン・コックス、ナット・ウルフ、
   サム・エリオット、エリザベス・ペーニャ、サラ・バーンズ、ジョン・チョウ

評価:★★★




 リリー・トムリン演じるグランマが孫と一緒にコーヒーショップに入る場面。コーヒーが拙いと不満たらたら。他に客がいるのに大声で中絶話。それに怒った店主と言い合い。それが気に食わないと床にコーヒーをぶちまける。全く困ったバアサンだ。でも、憎めない。いやむしろ、彼女が気になって仕方ない。

 グランマが最初から魅力的なのは『愛しのグランマ』の欠点だ。本来なら彼女のとっつき難くて近寄り難い一面にたじろいで敬遠したくなる状態から、次第に彼女と観る者の間にある距離が縮まっていくところに面白味があるはずだ。それが放棄されているのだから。どれだけ辛辣な言葉が出てきても、彼女こそ他の誰よりも愛しい存在だ。

 ポール・ウェイツは多分、それに気づいている。気づいた上でトムリンに賭ける。厳しい立場に追い込まれても、八方塞がりになっても、甘えた態度を自分に許さないグランマのパーソナリティを、トムリンもまた甘えることなく魅せる。人には厭世的と言われ、自分ではバカ者嫌いなだけと言ってのける女の、毒舌を振りまくだけではない複雑さをユーモアを決して忘れることなく浮上させる。簡単に言ってしまえば、深い愛情を感じさせる。

 中絶費用を出して欲しいと訪ねてきた可愛い孫とグランマのたった一日にも満たない物語。訳あって自分も金を持っていないグランマは、孫と一緒に金を工面するため次々人に会う。愚かな作家なら命の大切さに気づかせるソープオペラ方面に逃げるところだろうけれど、ウェイツはあくまでグランマとその周辺人物の観察に集中する。次第にグランマの人生が立体的に見えてくるのがミソだ。

 周辺人物が皆魅力的に撮られる。孫役のジュリア・ガーナーは80年代のマドンナ風の容姿の中に純情を滲ませるし、その母役のマルシア・ゲイ・ハーデンはトムリンに負けない辛辣さの中に人間味を忘れない。元夫役のサム・エリオットや別れたばかりの恋人役のジュディ・グリア(そう、グランマはレズビアンだ)も自分の考えを持った聡明な人間として描かれる。

 グランマが詩人という設定はもっと突っ込んでも面白かっただろう。何年も前に評価されたものの、最近は大学の講師として食い繋いでいる。けれど、決して詩を忘れたわけではない。背中に彫られたトンボのタトゥーは詩と関係している。彼女に今日という日を詠んで欲しいとまでは言わない。ただ、グランマなら混沌に満ちた一日をどう愛するだろうと思ってしまうのだ。





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