マネー・ショート 華麗なる大逆転

マネー・ショート 華麗なる大逆転 “The Big Short”

監督:アダム・マッケイ

出演:スティーヴ・カレル、クリスチャン・ベール、ライアン・ゴズリング、
   ブラッド・ピット、ルディ・アイゼンゾップ、ケイシー・グローヴス、
   マリサ・トメイ、アデペロ・オデュイエ、レイフ・スポール、
   ハミッシュ・リンクレイター、ジェレミー・ストロング、ジョン・マガロ、
   フィン・ウィットロック、デイヴ・デイヴィス、メリッサ・レオ、
   カレン・ギラン、マーゴット・ロビー、セレーナ・ゴメス

評価:★★★




 『マネー・ショート 華麗な大逆転』はゼロ年代半ばに起こったあの金融危機を察知し、その上それを利用して大金を手に入れた男たちの物語だという。当然金融界の複雑なからくりが詳細に描かれるだろう。…となると、数字に強くない人間は敬遠したくなるのが当然ではないか。アダム・マッケイはしかし、そういう人間が少なくないことを承知している。

 まずマッケイはコメディに仕立て上げる。深刻顔の金の亡者が精神をぎりぎり状態に置きながら駆け引きに出る様など見たい人は少ないだろう。幸いマッケイはコメディ畑の人だ。いつもとは調子が違うのは間違いない。けれどマッケイは、いくら登場人物が難解な言葉を口にしたり窮地に陥ったりしてもユーモアとスピードを忘れない。

 わけてもリズムは大切にされる。バックに流れるロックミュージックに乗っかり、余計な感情の水に身を浸すことなく、前のめりで話を運ぶ。あの手この手のふざけた話法が効いてくる。登場人物の観客への語り掛け。イラストや図表を用いた解説。ポップカルチャーを挿入した画面作り。突然のドキュメンタリー調。有名人の言葉の引用。マーゴット・ロビーが本人役で登場、泡風呂の中からレクチャーする画まである。

 これは脚本と編集の勝利に他ならない。分かり難い金融界の構造を丁寧に噛み砕き、、それを材料に画を仕立て、最後はリズミカルにそれを切り張りする。緊張と快感のツボが的確に押さえられた世界観を導く技が実に上等。正直なところ、本当に全てを理解しているかというと、自分を疑わずにはいられないものの、アレルギーは確実に緩和される。

 もちろん金融界に挑む男たちはクセモノが揃えられる。中でもいつもTシャツと短パンの変人男を演じるクリスチャン・ベールと欲望に塗れた金融界を嘆くスティーヴ・カレルは強い印象を残す。彼らの武器は度胸と忍耐力だ。負ければ破滅の大勝負。すぐに結果が出るものではないから、どれだけ白い目で見られてもぎりぎりまで不安な状況下で耐えなければならない。ベールとカレルはどちらも役柄に、得体の知れない怪物性を持ち込んでいる。

 男たちは何に立ち向かっているのか。ウォール街だとか金融界だとか言葉にするのは容易いものの、そんな漠然とした言葉でしか表現できないものが立ちはだかる。これは映像として生け捕りにし難い。男たちの空騒ぎに見える危険を多分に秘めている。マッケイはそれを回避する。大逆転の後に残る苦味を取りこぼすことなく掬い上げ、その残骸の先にあるものが風に飛ばされないよう注視する。好もしい態度だ。お説教を嫌うマッケイの語りは、強欲が支配する世界の正体に最後まで粘り強くこだわるのだ。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ