ディバイナー 戦禍に光を求めて

ディバイナー 戦禍に光を求めて “The Water Diviner”

監督・出演:ラッセル・クロウ

出演:オルガ・キュリレンコ、ジェイ・コートニー、イルマズ・アルドアン、
   チェム・イルマズ、ライアン・コア、ジェームズ・フレイザー、
   ベン・オトゥール、イザベル・ルーカス

評価:★★




 ラッセル・クロウが体現する喪失感には説得力がある。オーストラリアに住むクロウは1915年、トルコのガリポリの戦いにて三人の息子を失う。それから四年経った今も心の傷は癒えない。苦悶の表情を浮かべるわけでも、泣き叫ぶわけでも、人にやり場のない怒りをぶつけるわけでもない。ただ、心と身体が切り離されてしまったような奇妙な感覚、クロウはそれを掴まえてみせる。

 そのクロウが妻の死をきっかけにトルコに向かい、まだ還ってこない息子たちの最期を知ろうとするというのが『ディバイナー 戦禍に光を求めて』のストーリーだ。その旅路にいつしか明かりが灯り、決して治ることはないように思われた傷が存在を小さくしていく…という定番の流れ。クロウは流れに抵抗することなく、主人公の心の旅に寄り添う。

 演出はその演技を物語に溶け込ませることができない。過去場面・回想場面の入れ方が安易だし、トルコ側の姿勢を過剰に意識したがゆえに全体はまとまりに欠ける。後半突如取り上げられるアクションは大いに浮き上がり、時間の流れ方は乱暴だ。サウナ場面やキャンドル場面の挿入は頓珍漢としか言いようがない。どうしても100年も前の話には見えない違和感にも付きまとわれる。当然人間関係の表情は雑になる。オルガ・キュリレンコ扮するホテルの女主人やトルコの英雄大佐がクロウと心を通わせていく様は唐突そのものだ。

 しかし、いちばんのギャグはクロウが真実を知る方法だろう。クロウは故国で水脈を探し当てる仕事をしている。彼は何と、その要領で息子たちの行方を追うのだ。これをファンタジーの世界云々、非現実的云々などと責めるつもりはない。世界観をにそれを溶かすことができないのが問題だ。

 どこか主人公を憐れんで見ているような作り手の気配も気になる。これ以上ない不幸に必死に耐える男。その佇まいに戦争の無情を分かりやすくぶつけ、感傷を愛でているような。この物語はあくまで、思いがけず人と交流することで主人公が癒されていく、その不思議を追うもののはずだ。

 クロウの演技が勿体ない。…と言いたくなるものの、実は監督を手掛けたのはクロウ本人なのだった。これだけ役の急所を的確に捉えた演技を見せられるのに、もしかして物語の急所は見誤ったということだろうか。





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