ヘイトフル・エイト

ヘイトフル・エイト “The Hateful Eight”

監督:クエンティン・タランティーノ

出演:サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、
   ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、ティム・ロス、
   デミアン・ビチル、マイケル・マドセン、ブルース・ダーン、
   ジェームズ・パークス、チャニング・テイタム

評価:★★★★




 クエンティン・タランティーノ映画は彼が作ったものだとすぐ分かる。長々続く無駄話。効率的に動くカメラ。チャプター形式。耳から離れない音楽。不敵な時制シャッフル。過激な暴力。「レザボア・ドッグス」(92年)で鮮やかなる初登場をキメて以来、ずっと同じスタイルを崩さない。それにも関わらず、タランティーノ映画に自己模倣の匂いはほとんどない。二部作「キル・ビル」ですら、一部(03年)と二部(04年)ではまるで受ける印象が違ったではないか。

 『ヘイトフル・エイト』は所謂西部劇だ。しかしやはり、「ジャンゴ 繋がれざる者」(12年)とは全然違う。南北戦争後を舞台にタランティーノが仕掛けるのは、猛吹雪という名の牢屋に閉じ込められた者たちに起こるミステリー。当然のように起こる惨劇をタランティーノは、まるで雪原にシュプールを描くようにイメージ豊かに突破する。スキー板に乗るのは南北戦争の亡霊だ。

 登場人物はクセモノ揃いだ。誰も彼も表面通りの人物とは思えない。誰と誰が繋がっているのか、視線が交錯する度に深読みしたくなる画が満載。無駄話の中に放り込まれているに違いない謎を解くヒントにも耳を欹てずにはいられない。

 中盤からはほとんど密室劇の様相ながら、さすがタランティーノはカメラの動かし方を心得ている。単調になってもおかしくない画面を極めて効果的に揺さぶる。闇雲には動かない。けれどこれ以上の静止は辛いか…と思ったところでちゃんとアクションが入る。人の快感のツボをここまで分かっている人も珍しい。

 キャスティングもいかにもタランティーノ的だ。初登場組の中ではジェニファー・ジェイソン・リーが不気味で可笑しいの何の。左目に青痣を作った状態で顔を見せてから一定間隔で、拳やらシチューやらどぎついものを次々浴びる。仕舞いにはあんなものやこんなものまで。終幕はほとんど某ホラー映画のアイコンのような気配。その毒々しい妖気は、さすがヴィック・モローの娘。

 ウォルトン・ゴギンズも健闘する。新保安官だと名乗る胡散臭い男として現れ、善にも悪にも転びそうな微妙な立ち位置で笑いとスリルを勝ち取る。クライマックスはリーやサミュエル・L・ジャクソンと堂々渡り合う。

 好きな場面はいくつもある。例えば最初の犠牲者が出る場面の静寂なる空気が破られる高揚感には大いに魅せられる。あぁ、でもやっぱりリーがギターを披露する場面がベストだろうか。妖しい音色と歌詞と声が絡み合う。その後の不穏な展開を思わずにはいられない。奇妙で色っぽい画面だ。





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