ドリーム ホーム/99%を操る男たち

ドリーム ホーム/99%を操る男たち “99 Homes”

監督:ラミン・バーラニ

出演:アンドリュー・ガーフィールド、マイケル・シャノン、ローラ・ダーン、
   ティム・ギニー、ノア・ロマックス、クランシー・ブラウン、
   ウェイン・ペレ、ニコール・バレ、J・D・エヴァーモア、カレン・モス

評価:★★★




 2008年に起こった金融危機はウォール街だけでなく、小市民の生活にも大きな影響を及ぼした。アメリカだけで何と約300万件の物件が差し押さえられたらしい。『ドリーム ホーム/99%を操る男たち』の主人公はその中のひとりだろう。フロリダに住む若いシングルファーザーは、突然現れた不動産ブローカーと保安官により、いとも簡単にマイホームを奪われる。

 この映画には終始、哀しい気配が付きまとう。それは主人公が憎き悪徳不動産の世界に足を踏み入れるからだろうか。抵抗虚しく善良な人々が家を奪われる様が哀れを誘うからだろうか。負け犬に手を差し伸べない国の態度が絶望と密着するからだろうか。おそらく全てが理由になる。

 けれど、最も哀しみの空気に包まれるのは、「家」というものが「住む」以上の意味を持つことを改めて突きつけ、それにも関わらず、それが極めて乱暴に使われるところから来ているのではないか。例えそれが幻想に過ぎなくても、それに縋らずにはいられない。主人公はそれに気づく。愛情深い父親である主人公は家族を守りたい一心だ。しかし現実にぶつかったとき、己の中の大切な何かを捨てざるを得ない。

 「家の思い入れを捨てるんだ。家はただの箱だ」。こう言われる主人公の葛藤が、後半のサスペンスの燃料になる。家族を守るために手放すわけにはいかなかった家が、気がつけば己を肯定する手段になり、そればかりかいちばん守りたかった家族の関係に亀裂を入れる結果を招く。それこそ家を箱だと割り切れたら、どれだけ楽だろう。アンドリュー・ガーフィールドの誠実な眼差しと佇まいが効いている。ガーフィールドの身体が軋む音が聞こえる。

 ガーフィールドを不動産の世界に引きずり込むブローカーも単純な悪役ではない。彼もまた、偽善と矛盾に支配された世界の住人として、翳りを漂わせる。この役にマイケル・シャノンを充てるセンスが素晴らしい。狂気の人として都合良く使われがちだったシャノンが、傲慢に強欲に全てを手に入れ、しかし、一向には幸せには見えない男を厚みたっぷりに魅せる。

 クライマックスのある事件が絡んだ流れはややメロドラマ方向に流された感がある。主人公の善なる部分が大雑把に利用されたような感触。ハウスとホームの違いはよく言われる。主人公が欲しかったのはホームだった。それは分かるものの、少々行儀良く切り上げられたように見えて、僅かに冷静な気分になる。更なる闇に踏み込んでも面白かったのではないか。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ