スティーブ・ジョブズ

スティーブ・ジョブズ “Steve Jobs”

監督:ダニー・ボイル

出演:マイケル・ファスベンダー、ケイト・ウィンスレット、セス・ローゲン、
   ジェフ・ダニエルス、キャサリン・ウォーターストン、
   マイケル・スタルバーグ、パーラ・ヘイニー=ジャーディン、
   リプリー・ソーボ、セーラ・スヌーク、ジョン・オーティス

評価:★★




 何ともまあ、マイケル・ファスベンダーがスティーヴ・ジョブズに似ていないこと。実在の人物を取り上げる映画は、大抵メイクで本人に似せてくるものだけれど、ファスベンダー演じるジョブズは、ジョブズだと言われても納得するのに時間がかかる。ジョブズよりもユアン・マクレガーに似ているくらいだ。けれど、これは作り手の『スティーブ・ジョブズ』をモノマネショーに終わらせないという宣言なのかもしれない。

 ダニー・ボイルはジョブズの人生を順番に辿ることを放棄する。ジョブズのイメージは新製品発表会の例のスタイルに象徴される。だからだろうか、発表会当日のジョブズを定点観測する。それも三つの時代に絞る。出てくるのは発表会当日に現れる人のみ。内容も限定的になる。

 会話劇が中心になる。製品発表を前にした独特の緊張とそれに伴う苛立ち。そこに至るまでの紆余曲折。人物同士の拭えない確執。娘との複雑な距離感。言葉の裏にあるものを想像させながら、その洪水のスピードに乗って、話に速度をつける。

 狙いは分かるものの、やや策に溺れた感がある。ジョブズを美化しないのは結構だけれど、浮かび上がるジョブズ像が、人間味を感じさせるかと言うとただの嫌な奴にしか見えないし、天才特有の怪物性を具えているかと言うとエゴを通して自分を大きく見せようとしている小物のそれしか感じない。時折入るフラッシュバックは、ボイルがこの方法ではジョブズを語り切れないと判断したがゆえの苦肉の策ではないか。時代毎に変えられる撮影方法や音楽のチョイスも力にならない。

 外見は似ていないファスベンダーはしかし、全編出ずっぱりのまま、奇妙な吸引力を発する。ボイルが仕立て上げるジョブズには一向に惹かれるところがないのに、ファスベンダーの演技だけは眺め続けたい。そう思わせるのだ。所作や声のトーンを時代毎に細かく操る。その積み重ねがそうさせるのか。

 気がつけば映画は、ファスベンダー対共演俳優のボクシングマッチだ。vs. キャサリン・ウォーターストン。vs. ジェフ・ダニエルス。vs. セス・ローゲン。そしてvs. ケイト・ウィンスレット。特にウィンスレットとのマッチは見応えがある。ウィンスレットはマーケティング担当にして、彼の唯一の理解者ジョアンナ・ホフマン役。対立軸がない分、試合内容が変化に富む。もちろんウィンスレットは手堅い。攻撃性が和らぐ分、ファスベンダーもウィンスレットとの絡みは楽しかったのではないかと察する。





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