ハッピーボイス・キラー

ハッピーボイス・キラー “The Voices”

監督:マルジャン・サトラピ

出演:ライアン・レイノルズ、アンナ・ケンドリック、ジェマ・アータートン、
   ジャッキー・ウィーヴァー、エラ・スミス、スタンリー・タウンゼント、
   アディ・シャンカル、サム・スプルエル、ヴァレリー・コッホ、
   ポール・ブライトウェル、ガリー・マクグラス

評価:★★




 カラオケ以外に娯楽が見つからない寂れた田舎。青年は水回り関係の仕事に就いている。話し相手はペットの犬と猫。どちらも喋ることができて、青年の暮らしに助言や批判、首を突っ込んでばかりの毎日。『ハッピーボイス・キラー』は実は心を病んでいる青年の、心の宇宙を覗き見る。

 狙いはポップでキュートに宇宙を展開させることだ。会社に溢れるピンクを見せつける序盤など、なかなか快調。ユニフォーム、ガムテープ、リボン、フォークリフト…次々出てくるピンクが味気ない色の町の中で弾ける。ライアン・レイノルズはその中に放り込まれる。青年というよりオッサンと言って良い年齢になったレイノルズが、案外その中に溶け込む。

 青年の宇宙は夜遅く、山中でシカを轢いてしまったことから大きく歪みを見せる。助手席に乗っていた愛しい人の首をチョッキン。冷蔵庫に飾るのだからぶっ飛んでいる。しかも首は喋るのだ。生きているときより、よっぽど可愛らしく。このキッチュな画の面白さをどうして追求できなかったのか。

 そう、後半になるとポップでキュートなコメディの要素は急激に薄れ、青年の悍ましい一面が過剰に強調される。暴力的だった義父や自分と同じく心を病んでいた母との思い出が語られ、なおかつ子どもが背負うには厳し過ぎる事実も明らかになる。青年を精神分析することで、かえってその宇宙が味気なく見える。「サイコ」(60年)の焼き直しに見えるときもある。

 惜しいことをした。レイノルズだけじゃなく、役者がハマっているからだ。レイノルズのチープ感は狂気と相性が良いし、孤独のまとい方も悪くない。ジェマ・アータートンはハスッパなイメージを逆手に取るし、アンナ・ケンドリックはいつになく綺麗に撮られている。生首ガールズたちとレイノルズの奇妙にして愛らしい掛け合いを散りばめる方法もあったはずだ。そこにジャッキー・ウィーヴァーを放り込んで、毒々しさを足しても良い。

 エンドクレジット前にはレイノルズやアータートン、ケンドリックらを交えたへなちょこミュージカルが映し出される。楽曲は「Sing A Happy Song」。これがとても良い。ブルーを着たレイノルズ、ピンクとオレンジでまとめた女優陣。そこに神様まで現れて、緩くも愉快に歌い踊る。あぁ、どうせなら全編この調子、ミュージカルでも良かったくらいだ。





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