アメリア 永遠の翼

アメリア 永遠の翼 “Amelia”

監督:ミラ・ナイール

出演:ヒラリー・スワンク、リチャード・ギア、ユアン・マクレガー、
   クリストファー・エクルストン、ジョー・アンダーソン、ミア・ワシコウスカ、
   チェリー・ジョーンズ、アーロン・エイブラムス

評価:★★




 女性として初めて大西洋の横断に成功した伝説の飛行士アメリア・エアハートの半生が描かれる。しかもエアハートを演じるのはハリウッドを代表する演技巧者に成長したヒラリー・スワンク。監督はミラ・ナイールだからインド的な面白い味つけも楽しめるかもしれない。…というわけで、『アメリア 永遠の翼』には濃厚な人間ドラマを期待したのだけれど、これが拍子抜けするほどにあっさりした構成で、悪い意味でびっくり。綺麗さっぱり、後に何も残らない。

 まず、エアハートを崇め奉る成功話ばかりなのがダメだ。冒頭でパブリシストのジョージ・パットナムを訪ねてからとんとん拍子に飛行が決定。男性パイロットふたりとの大西洋横断に成功した後は、自信の操縦により単独でも偉業を達成。遂には世界一周の旅に出るまでになる。その間に彼女が味わった苦労や挫折と言ったら、最初の飛行で操縦桿を握らせてもらえなかったこと、車輪の故障により離陸できなかったことぐらい。やりたくなかったCM撮影もあったものの、大金が入ってくる上、本人は乗り気じゃなかったと拝金主義ではないことをアピール。途中に挟まれる不倫話も、あぁ、なんと淡白なんだろう。彼女はスパッとけじめをつけて、ハイ終わり。立派だとしか言いようがない。

 しかも、こうしたサクセスエピソードの羅列がなされても、エアハートの空へのこだわりが一向に見えてこないのだ。「冒険のある人生は楽しい」と語り、自由を求めて挑戦し続ける。もっともらしいセリフや言葉も出てくるけれど、そんな言葉にできる綺麗さじゃなくて、何か決定的な空へのこだわり、それこそ人間の「醜」の部分に踏み込んでしまうぐらいの想いを浮かび上がらせるべきだろう。エアハートはいつ何時も空にこだわりを見せた。そしてそれが人類未踏の領域へ踏み込ませることになった。子ども向けの伝記本に出てくるような美談なんて、要らない。

 そして、トドメを刺すのは飛行場面の単調さだ。これだけ空を愛し、飛行機を愛し、飛ぶことを愛し、さらには命の危険に晒されても、それに賭けた人物。飛んでいるとき、彼女には何かが見えていたはずなのだ。凡人では想像もつかない何かが。なのに映し出されるのは、美しいばかりで胸に迫らない、お行儀の良い航空写真的な画ばかりだ。撮り方が全然面白くない。見下ろした先にある対象物の美に頼った、意思の感じられない画を並べただけ。だったら観光本にでも載っている写真を眺めれば良い。

 確かな演技力を見せるスワンクに対して、パットナム役のリチャード・ギアのフツーのオッチャンぶりにはタマゲタ。「運命の女」(02年)でも「フツー」を際立たせていたけれど、あちらはそれが重要な意味を持っていた。でも、ここでもギアは意味なくフツー。ただの理解あるオッチャン。スワンクを愛するだけのオッチャン。おまけに「人生という新しい飛行機に乗り込もう」という失笑必至のプロポーズまでしちゃう。スワンクの不倫相手を務めたユアン・マクレガーもなぜ出てきたのか理解不能で(見せ場が全くない)、スワンクショウ以外のものがない映画なのだった。





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