エージェント・ウルトラ

エージェント・ウルトラ “American Ultra”

監督:ニマ・ヌリザデ

出演:ジェシー・アイゼンバーグ、クリステン・スチュワート、
  トファー・グレイス、コニー・ブリットン、ウォルトン・ゴギンズ、
  ジョン・レグイザモ、ビル・プルマン、トニー・ヘイル、
  スチュアート・グリアー、マイケル・パパジョン、モニーク・ガンダートン

評価:★★




 寂れた田舎のコンビニで働くジャンキーの青年の正体は、実はCIAの特別プログラムによって作られた最強エージェントだった!…というもろ「ジェイソン・ボーン」な設定が用意される。けれど、『エージェント・ウルトラ』に同じカタルシスを期待するべきではない。最初から狙いはズレている。

 おそらく作り手が目指したのは「キック・アス」(10年)の線ではないか。嘲笑の対象になりがちなオタクが覚醒、思いがけない表情を見せ、世間を我が物顔で闊歩する嫌味な奴らを見返すのだ。日陰者がヒーローになる。その可笑しみと妙味で押す。

 落差は大きい方が良い。のび太級のぼんくらがデキるヤツだった方が面白い。…というわけで選ばれたジェシー・アイゼンバーグはこれまでの内向的なイメージを逆手にとって、大凡不釣り合いなアクションに挑む。クリステン・スチュワートをガールフレンドにするサーヴィス付きだ。

 ところが、このアクションがまるで冴えない。カメラワークの単調さや編集の覇気のなさも気になるものの、アイゼンバーグの抹殺を謀ろうとするCIAの刺客に芸がないのが問題だ。奴らはマシンガンを乱射するだけの存在で、ターミネーターを雑魚にした印象しか残さない。唯一ウォルトン・ゴギンズだけが例外的に哀愁を漂わせるものの、取ってつけたよう。

 アイゼンバーグはほとんど銃で応戦しない。結構なことだ。ところが、ここでも「キック・アス」を意識したのか、スプーンやらカップ麺のお湯やら、手近なものを使った攻撃法の残酷性が過剰に煽られるのが不快さを刺激する。ふざけ方に余裕も余白もないと言い換えることも可能だ。こういうのを現実感があって面白いと勘違いするセンスが、僅かほどにも理解できない。主人公を含め、登場人物への愛情はどこにある。

 作り手は「王道」と呼ばれるものに大きな抵抗感を抱いている。それゆえのオフビート感、それゆえの残虐性、それゆえの現実感なのだろう。ここではしかし、その自意識がまるで響かない。アイゼンバーグとスチュワート、悲劇のカップルの純愛は、作り手の脳内でぎこちなく彷徨っているだけなのだ。





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