ザ・ウォーク

ザ・ウォーク “The Walk”

監督:ロバート・ゼメキス

出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、シャルロット・ルボン、
   ベン・キングスレー、ジェームズ・バッジ・デイル、ベン・シュワルツ、
   クレマン・シボニー、ベネディクト・サミュエル、
   マーク・カマチョ、スティーヴ・ヴァレンタイン

評価:★★★




 『ザ・ウォーク』はドキュメンタリー映画「マン・オン・ワイヤー」(08年)に詳しい大道芸人フィリップ・プティの挑戦を描く。挑戦とは完成間近のワールドトレードセンターのツインビルの屋上をワイヤーで繋ぎ、その上を歩くというもの。110階、400メートルを軽く超える高所での命を賭けた曲芸。このパフォーマンスが成功したことは良く知られている。ロバート・ゼメキスはそれでもそこに、ドラマとサスペンスを見つけ出す。

 こんなことをやってのけるのは、いや、やってみようと思うのは、かなりの愚か者かとんでもない自信家だろう。しかし、ゼメキスはそのどちらでもないプティの姿を映し出す。「ワン・オン・ワイヤー」ではプティ本人が理由はないと語っていたように記憶しているけれど、なるほどここに描かれるプティも理由を小難しく語らない。単純にツインタワーに魅せられ、そこを歩く自分の姿を追い求めている。それだけが真実だ。

 一流の綱渡り技術を持つプティは用意周到に計画を進める。これはほとんど犯罪映画のノリだ。実際これは犯罪に当たるわけだけれど、軽快なテンポと具体的で幸運にも味方された展開により、犯罪は犯罪でも目を細めてしまうような愉快なドライヴが効かされる。共犯者が集まってくる過程。変装たっぷりのタワーの下見。機材の持ち込み。詐欺師的要素が取り入れられた作戦。

 プティはしかし、己がやろうとしていることに対し、恐れも抱いている。これがその人物像に厚みをもたらす。初めてツインタワーを見上げるとき、そしてパフォーマンス決行前夜、恐れを隠さない。何が何でもやり遂げようという強い意志を持つ一方で、その無謀さにたじろぐ。恐れはまるで、神と対峙しているかのような気配を感じさせる。プティにとってのパフォーマンスは、そういうことなのだ。

 ジョセフ・ゴードン=レヴィットはプティの抱える狂気を実に魅力的に魅せる。無駄な肉のない体躯に飄々とした佇まい。ワイヤーの上でバランスをとるときの無心の表情。現実と夢の狭間を行き来する所作。フランス語訛りの英語は愉快なアクセントだ。大胆不敵なプティの挑戦に血が通う。

 パフォーマンス当日の風景が緻密に描写される。ワイヤーを張るだけでも大変な苦労があるし、夜が明けると同時に始まるパフォーマンスもビルの間を何度も往復するだけなのにうねり十分。プティのパフォーマンスはそのまま、今は消えてしまったワールドトレードセンターへのトリビュートになっている。

 それゆえの3Dだとは理解できる。できるけれどしかし、同時に作り物の匂いが浮上したのは気にかかるところかもしれない。上空のプティの目から見たニューヨーク、観客が見上げる遥か先に立つプティ。そこに3Dの装飾は必要ないと思うのだ。3Dは映像を模型のように見せることがある。「ステージの上では嘘はつけない」と知っているプティの物語だからこそ、3Dは拒否して欲しかった。





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