マン・アップ! 恋のロンドン狂騒曲

マン・アップ! 恋のロンドン狂騒曲 “Man Up”

監督:ベン・パーマー

出演:サイモン・ペッグ、レイク・ベル、ロリー・キニア、ケン・ストット、
   ハリエット・ウォルター、オリヴィア・ウィリアムス、シャロン・ホーガン

共演:★★★★




 面白いことは瞬く間に察知できる。レイク・ベル演じるヒロインが冒頭で見せる、恋に干からびた姿が実に切実で、可笑しいからだ。ベッド上でスウェット・スタイル。スナック菓子を頬張り、観ている映画は「羊たちの沈黙」(91年)。ハンニバル・レクターの物真似をして気を紛らわし、意を決して出かけたパーティでは余計なひと言を連発して空気を凍らせる。極めつけはバービー人形の恋人ケンの形容の仕方だ。「笑顔が胡散臭い男ね」。

 実のところ、『マン・アップ! 恋のロンドン狂騒曲』は新しいロマンティック・コメディを見せようなどという野心的な映画ではない。ぽんぽん飛び交うセリフの気持ち良さを潤滑油に物語を軽快に転がし、すったもんだの末に男女が結ばれるというロマコメの典型的作り。ただし、それを一流の術で描き出す。

 ベルは自分をブラインドデートの相手として間違えた男と一日を過ごすことにする。間違いを明かさないままに。序盤は男が勘違いしたまま、女がそれに合わせるちぐはくさから生まれる妙味で見せる。相性が良いことは一目瞭然のふたりだからそれだけでも楽しい。男のリードの仕方が巧く、女が男の優しい心を感じ取るのも早い。ただ、脚本は間違いを早々に明らかにする勇気を見せる。

 男の離婚協議中の嫁が出てくる中盤は、一転言い合いが増える。相性の良いふたりは喧嘩さえも楽しい。ポイントはここで、クールに見えた男の情けない点、女々しい点が一気に浮上するところだ。それを人間味と結びつけることを忘れない。女はそれでもなお、男の何かが気にかかる。そう、恋は始まっている。デュラン・デュランの「The Reflex」に乗って、ふたりが突然のダンスを見せるのは、名場面だろう。

 その後、ふたりは別れる。連絡先も交わさない。ふたりは再会できるだろうか。もちろんできるわけだけれど、いよいよ前面に出てくるのが「ハート」というやつで、これは適当に処理されないと、臭みが出てる危険がある。ところが、そんな事態は回避される。登場人物のハートのみならず、作り手の登場人物へのハートが感じられるからだ。女の家族や男の元嫁、勘違いのきっかけを作るお節介女。女に想いを寄せる変態男さえも愛情を持って描かれる。

 ベルとサイモン・ペッグがとにかく輝いている。皮肉屋女のガラスでできた純粋な心が丁寧に伝わるのは、最初はブルック・シールズ系のオカマちゃん顔女でしかなかったベルの功績大だし、離婚に傷つきながら何とか前に踏み出そうともがく男の可愛らしさをこんなにも魅力的に見せられるのは、ペッグしかいないだろう。とりわけペッグは、こんな彼を待っていたと言いたくなるほどに、決定版的魅力を全開にさせる。何と良い男だと錯覚(?)するぐらいに。ペッグがベルに最後に伝える言葉、きっと誰もが彼らと同じように温かい涙を流すことになる。





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