February 5-7 2016, Weekend

◆2月第1週公開映画BUZZ


ヘイル、シーザー! “Hail, Caesar!”
 配給:ユニヴァーサル
 監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
 Budget:$22,000,000
 Weekend Box Office:$11,355,225(2232)
 OSCAR PLANET Score:75.3
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
           主演男優賞:ジョシュ・ブローリン
           助演男優賞:ジョージ・クルーニー
           助演男優賞:オールデン・エアエンライク
           助演男優賞:レイフ・ファインズ
           助演男優賞:ジョナ・ヒル
           助演男優賞:チャニング・テイタム
           助演女優賞:スカーレット・ヨハンソン
           助演女優賞:フランシス・マクドーマンド
           助演女優賞:ティルダ・スウィントン
           撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、
           メイキャップ&ヘアスタイリング賞、録音賞、音響効果賞、作曲賞

“Pride and Prejudice and Zombies”
 配給:スクリーン・ゲムス
 監督:バー・スティアーズ
 Budget:$28,000,000
 Weekend Box Office:$5,324,240(2931) zzz...
 OSCAR PLANET Score:46.7
 Golden Globe Potential:主演女優賞:リリー・ジェームズ

“Regression”
 配給:ラディアス-TWC
 監督:アレハンドロ・アメナーバル
 Budget:$20,000,000
 Weekend Box Office:$33,915(100) zzz...
 OSCAR PLANET Score:37.5
 Razzie Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
           主演男優賞:イーサン・ホーク
           主演女優賞:エマ・ワトソン

“The Choice”
 配給:ライオンズゲイト
 監督:ロス・カッツ
 Budget:$10,000,000
 Weekend Box Office:$6,050,443(2631)
 OSCAR PLANET Score:21.8 BIG BOMB!
 Razzie Potential:作品賞監督賞脚本賞
           主演男優賞:ベンジャミン・ウォーカー
           主演男優賞:テリーサ・パーマー

“Misconduct”
 配給:ライオンズゲイト
 監督:シンタロウ・シモサワ
 Budget:$11,000,000
 Weekend Box Office:-
 OSCAR PLANET Score:19.7 BIG BOMB!
 Razzie Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
           主演男優賞:ジョシュ・デュアメル
           助演男優賞:アンソニー・ホプキンス
           助演男優賞:アル・パチーノ
           助演女優賞:マリン・アッカーマン
           助演女優賞:ジュリア・スタイルズ


※OSCAR PLANET Score…各有力媒体の批評を基にOSCAR PLANET独自の計算法により弾き出した評価バロメーター。作品賞、監督賞&脚本賞レース参戦を目指すのであれば、少なくとも70.0以上は欲しく、80.0以上なら堂々たる資格を具えていると考えて良い。ただし、演技賞や技術賞では作品評価が伸びなくても、候補入りする場合が少なくない。

※Oscar Potential…オスカーチャンスのある部門。太字は特にその可能性が高い。


【総括】
 ベルリン国際映画祭のオープニング上映作に選ばれているのがコーエン兄弟が手掛ける『ヘイル、シーザー!』。1950年代のハリウッドを舞台に、あるスタジオが社運を賭けて挑む超大作の撮影中に主演俳優の誘拐事件が発生、フィクサー(何でも屋)がその解決に奔走する様を描く…コメディ。やっぱりね。コーエン兄弟は批評家に愛されているが、今回も好意的な評をたっぷり獲得。ハリウッド黄金時代のディテールが入念に描写される中、有能なキャストが生き生きと躍動。コーエン兄弟から戦後ハリウッドへのラヴレターと言っても良い愉快な物語が展開される。コーエン兄弟はドラマもコメディも難なくこなしてきたが、今回はライトなタッチ、遊び心満載で気軽に楽しめる仕上がりとのこと。さて、2月というまだ2015年のアカデミー賞も終わっていない中での公開となったわけだが、当然来年のオスカーを期待する声が出る。ただし、こちらはあまり多くは望めないかもしれない。出来が手堅いことには間違いないが、オスカー受けするような内容ではなく、コーエン兄弟映画の中でも重要な一本という位置付けにはなりそうにないためだ。批評家賞で愛されれば、注目度は高まるだろうが、現時点では寵愛を受けそうなほどの熱狂は感じられない。賞レースウォッチャーは一応気に留めておいて損はないだろうが…。なお、興行成績はと言うと、豪華キャストの割りに平凡なもの。コスチュームプレイ劇アレルギーの映画ファンは多いようで、今回も出来映えに見合ったメガヒットへの発展は望めそうにない。

 『Pride and Prejudice and Zombies』はセス・グラハム=スミスのベストセラーの映画化。何年も前から企画が噂されてきたが、リリー・ジェームズを主演に迎えて遂に完成に漕ぎ着けた。ジェーン・オースティンの不朽の名作「高慢と偏見」の世界にゾンビが出没。ヒロイン、エリザベス・ベネットらがゾンビに立ち向かう様を描く。…というわけでパロディ精神溢れる作り。ユニークな設定からいくつかの笑いが引き出されているものの、見入ってしまうほどの楽しさはないというのが批評家の意見。単純にコスチュームプレイの世界にゾンビが現れただけにしか見えないという指摘が相次いでいる。「シンデレラ」(15年)によりブレイクしたジェームズだが、今回はさほど言及されないままに終わっている。ラジー賞に絡むほどに辛辣な否定評は見当たらないが、ジェームズにとっては少々残念な結果だろう。また、興行成績もそれに釣られるように味気ない。女性客を取り込みたかったはずだが、いかにオースティンの世界を舞台にしていても女性はゾンビに興味がなかった模様。また、男性客はオースティンの世界へのアレルギーがあったに違いない。

 『Regression』は1990年代ミネソタが舞台。父親に性的虐待を受けたという少女の告白をきっかけに露わになる町の暗部が描かれる。このところ好調をキープしていたエマ・ワトソンがヒロインを演じるミステリーだが、アレハンドロ・アメナーバルが監督というのが信じられないほどに今回は批評家からこてんぱんに叩かれている。「ローズマリーの赤ちゃん」(68年)風の悪魔絡み映画に仕立てられているが、緊張感にも驚きにも恐怖にも乏しいとの指摘がずらり。物語も先が読める上、予定調和のところに落ち着くという。この酷評が映画ファンにも伝染したか、興行成績も歴史的大惨敗。ラジー賞に絡んでもおかしくない低評価・低成績だが、残念ながら年末までには忘れられてしまう可能性が高いか。もし候補に挙がるとすれば、美しく成長したワトソンだと思われるが…。

 もはや何冊目なのか分からないニコラス・スパークスの恋愛小説の映画化となるのが『The Choice』。海沿いの小さな町で隣人同士として出会った若い男女の関係を10年に渡って描き出す。スパークス映画は批評家受けがよろしくないのが常だが、今回はその中でも特に嫌われている。いかにもスパークス映画らしい世界観になっているものの、もはや新味は感じられず、彼の信者にしか受けないだろうとの声が圧倒的大多数。ベンジャミン・ウォーカーとテリーサ・パーマーのカップルぶりもケミストリー不足とのこと。ラジー賞への警戒は必要だろうが、『Regression』同様、年末までに忘れ去られる可能性の方が高いか。なお、興行的にもスパークス映画の中でも最低の出足。定期的に封切られるスパークス映画だが、そろそろそれも途絶えるのかもしれない。





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