フランス組曲

フランス組曲 “Suite Française”

監督:ソウル・ディブ

出演:ミシェル・ウィリアムス、マティアス・スーナールツ、
   クリスティン・スコット=トーマス、サム・ライリー、ルース・ウィルソン、
   マーゴット・ロビー、ランベール・ウィルソン、トム・シリング

評価:★★




 戦争は人の本性を暴く。『フランス組曲』の中に出てくるセリフだ。その後ヒロインはこんなことを言われる。「意外に図太いのね」。的を射ているのに笑う。作り手はおそらく、その人間らしい弱さの奥底に横たわる逞しさこそ、彼女の本質だと言いたいのだろう。けれど、うん、図太い、それで良いじゃないか。

 フランスの田舎町にナチスの影が忍び寄る感じが、なかなかのムードで描かれる。戦地にいる夫を待つヒロインとその義母は裕福で、こんな田舎は大丈夫だと余裕をぶっこいていたところに爆弾が落とされる。不穏な空気の正体が一気に露わになり、町が悪に支配されていく過程が手際良く浮上する。

 それを背景に描かれるのが、戦時下でも一定の生活レヴェルを維持するヒロインと、彼女の家にしばらくの間寝泊まりすることになるナチス将校の恋。敵同士が恋に落ちるというだけではない。男はあのナチスだ。恋の障害としてこれ以上強力なものはないだろう。

 …ということらしいのだけれど、これがママゴトにしか見えないのに驚愕。ナチスにも良い人はいる。まあ、それも事実なのだろうけれど、周りが不幸にのた打ち回る中、奇跡的に互いが精神的善人で、しかも男と女として惹かれ合い、どちらも理性よりも本能に忠実になり…とまあ、あまりに幸運に事が運ぶので、ハーレクインもびっくりの陳腐なメロドラマに見えても仕方ない。宝くじに大当たりしたようなふたりなのだ。

 作り手もこれでは共感は得られないと踏んだのだろう。一旦ヒロインは我に返る。けれど、およよ、やっぱりあなたは素敵な人。忘れられないわ。小道具として用意される男の自作であるピアノ曲や隣人を交えた強引なサスペンス劇も含め、実態を感じられない要素が並ぶ。結末の甘ったるさもに驚く。簡単に言うなら、葛藤が決定的に安い。

 ミシェル・ウィリアムスはいつもより抑えた演技。安定した巧さを見せるものの、ワンパターンに見えてきたのが気がかり。日本の満島ひかりが巧さが完全にワンパターン化しているのと同じで(特に哀しみ・泣きの演技)、こういうのは連発されると鼻についてくるから要注意。義母役のクリスティン・スコット=トーマスはもはや余裕の意地悪演技だけれど、途中に見せる役柄の改心にはひっくり返った。理由も全く説得力なし。ウィリアムスとスコット=トーマスの対決を心理戦で見せてくれた方が良かった。





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